プログラマブルNFT(pNFT / Programmable NFT)とは|ロイヤリティを強制執行するSolana規格

プログラマブルNFT(pNFT / Programmable NFT)は、Metaplexが2023年2月にローンチしたSolana向けの新しいNFT規格です。最大の特徴は「ロイヤリティの強制執行」が可能な点で、クリエイターが設定したルールに従わないマーケットプレイスでは取引そのものが成立しません。本記事ではpNFTの仕組み・登場した背景・課題までを整理します。

プログラマブルNFT(pNFT)とは

pNFTは、NFTの転送・売買・委任といった操作に対してクリエイターが任意のルールを定義できる新世代のNFT規格です。Metaplexの「Token Metadata Program」を拡張する形で実装されており、特に2022〜2023年に深刻化した「ロイヤリティ無視マーケットプレイス」への対抗策として開発されました。

背景:ロイヤリティ問題

2022年、SolanaのNFTマーケットYawwwやSudoSwap風の手数料ゼロマーケットが登場し、二次流通時にクリエイターロイヤリティを支払わないモデルが急増しました。Ethereumでも同様の動きが広がり、NFTクリエイターの収益基盤が崩壊する危機が訪れます。

従来のNFT規格では、ロイヤリティはあくまで「マーケットプレイス側の良心」に依存しており、強制力はありませんでした。pNFTは、この問題をプロトコルレベルで解決するために設計されました。

仕組み:Rule Sets と Token Auth Rules

pNFTのコアは「Rule Set(ルールセット)」という仕組みです。クリエイターはNFTごとに「許可するプログラムのリスト(allow list)」または「禁止するプログラムのリスト(deny list)」を設定できます。これにより、ロイヤリティを払わないマーケットプレイスは技術的にNFTを転送できなくなります。

このルール検証を実行するのが「Token Auth Rules Program」という別プログラムで、pNFTのあらゆる操作(転送、売却、ステーキング、委任など)の前にRule Setを参照し、条件を満たさない場合はトランザクションを拒否します。

Metaplex公式アローリスト

Metaplex Foundationは、ロイヤリティを支払う主要マーケットプレイスのみを含む公式のアローリストを継続的に更新・提供しています。クリエイターは自前でリストを管理することも、この公式リストを採用することも選択可能です。

通常NFTとの違い

  • 転送制御:通常NFTは誰でも自由に転送可能。pNFTはRule Setで制限。
  • ロイヤリティ強制:通常NFTはマーケット側の任意。pNFTはプロトコルレベルで強制。
  • 委任の粒度:通常NFTは「全権委任」のみ。pNFTは「販売のみ」「ステーキングのみ」など細かい権限委任が可能。
  • ステーキング対応:pNFTは凍結(freeze)機能を持つため、ウォレットから動かさずにステーキング状態を作れる。

課題と限界

  • 計算リソースの増加:Rule Set検証が入るため、通常NFTより1取引あたりのコストとリソース消費が増える。
  • 互換性の問題:pNFTに未対応のマーケットプレイスやウォレットでは表示・操作不能になるケースがある。
  • アローリストの中央集権性:Metaplex公式アローリストへの依存は実質的な検閲権限を生む、という批判も存在。
  • MPL Coreへの移行:2024年に登場したMPL Coreがpnft的機能をより低コストで提供しており、新規プロジェクトはMPL Coreを選ぶ傾向。

まとめ

pNFTは、ロイヤリティの強制執行を含むNFT操作のプログラマブル化を実現したSolana特有のNFT規格です。クリエイター収益を守る画期的な仕組みでしたが、コストや互換性の課題から、現在は後継規格のMPL Coreにバトンを渡しつつあります。それでも「NFTにルールを埋め込む」という概念を業界に定着させた重要なステップとして位置づけられます。

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