モジュラーブロックチェーンとは|モノリシックとの違い・代表プロジェクトを解説

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モジュラーブロックチェーンとは

モジュラーブロックチェーンとは、ブロックチェーンが担う役割を「実行」「決済」「コンセンサス」「データ可用性」など複数の層に分解し、それぞれを専門のチェーンが分担して処理するアーキテクチャのことです。すべての役割を1つのチェーンで完結させる従来型「モノリシック・ブロックチェーン」と対比される概念で、2026年のスケーリング基幹トレンドとして主流化しています。

モノリシックとモジュラーの違い

BitcoinやSolanaのように1つのチェーンが全機能を担う設計をモノリシックと呼びます。シンプルで安全性が高い一方、処理能力(TPS)に上限があり、拡張性に課題がありました。

モジュラー型では、機能を分業することでそれぞれの層を最適化できます。たとえば、実行層はLayer2のRollupが担い、データ可用性はCelestiaが、決済とセキュリティはイーサリアムが担う、といった構成です。それぞれを独立して進化・スケールさせられるため、全体としての処理能力を大きく引き上げられます。

ブロックチェーンの4つの機能層

モジュラー設計では、ブロックチェーンの機能を以下4層に分けて議論されます。

  • 実行層(Execution): トランザクションの計算・状態更新を行う層
  • 決済層(Settlement): トランザクションの最終確定と紛争解決を行う層
  • コンセンサス層(Consensus): トランザクションの順序を合意する層
  • データ可用性層(Data Availability / DA): ブロックデータが誰でも取得できる状態を保証する層

これらをどう組み合わせるかが、各プロジェクトの設計思想を表します。

代表的なモジュラー系プロジェクト

Celestia(TIA)は、データ可用性に特化した最初のモジュラーチェーンです。実行層は持たず、Rollupが書き込んだデータを安価に保管・検証する役割に専念しています。多数のRollupを支えるDA層として、モジュラーエコシステムの基盤を担っています。

EigenDAは、Restaking基盤EigenLayer上で動くデータ可用性サービス。イーサリアムのバリデータ経済セキュリティを借りる形で運用され、機関ユーザー向けのDAソリューションとして位置付けられています。

Availは、Polygonから独立したDA専用チェーン。ライトクライアントが効率的にDAを検証できる設計で、独自の経済モデルを持っています。

そして、これらDA層を活用する側として、Arbitrum・Optimism・Base等の主要Rollupがモジュラー構成を採用、あるいは段階的に取り込んでいる状況です。

モジュラー化のメリットと課題

メリット: 各層を独立して最適化できるため、スケーラビリティ・コスト・カスタマイズ性で大きく優れます。チェーンの構築コストが下がり、用途特化型チェーン(アプリチェーン)を立ち上げやすくなります。

課題: 層が増えるほど構成が複雑化し、トラストアサンプション(誰を信頼するか)の数も増えます。また、ユーザー体験が分断されやすく、ブリッジや相互運用の難しさも生まれます。これらに対応するため、Account Abstraction(ERC-4337)やインテントベースのインフラがセットで議論されることが多い分野です。

今後の展望

イーサリアムは「Rollup-Centric Roadmap」を採択し、モジュラー化を公式ロードマップに組み込んでいます。2024年のEIP-4844(Proto-Danksharding)でRollupのデータ書き込みコストが大幅に低下し、モジュラー設計の経済性が一段と高まりました。今後はさらにDanksharding完成、Layer3の普及により、モジュラー型がブロックチェーンの主流アーキテクチャとして定着する見込みです。

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