「Babylon(バビロン)」は、ビットコインをラップやブリッジを介さずネイティブにステーキングし、PoSチェーンの安全性に貢献できる革新的なプロトコルです。2025年4月10日にBABYトークンをローンチし、独自L1「Babylon Genesis」のメインネットを稼働。BTCfi(Bitcoin DeFi)ナラティブの旗艦プロジェクトとして、ピーク時にTVL約56億ドルを記録しました。本記事ではBabylonの仕組み・BABYトークン・BTCfiへのインパクトを整理します。
Babylonとは
Babylonは、ビットコインを保有したままPoSネットワークの安全性提供に参加できる「Bitcoin Staking Protocol」です。スタンフォード大学のTseラボ(David Tse教授率いる)から派生したプロジェクトで、Bain Capital Cryptoなどから資金調達。2024年に第1フェーズ、2025年4月に第2フェーズ(Babylon Genesisメインネット)を稼働させました。
従来のBTCステーキングは「wBTCのようにラップして他チェーンで運用する」「ブリッジで別チェーンに送って運用する」のいずれかで、いずれもカウンターパーティリスクが残りました。Babylonはこれらを排除し、BTCをBitcoinチェーン上に置いたままステーキングを実現する点が革新です。
仕組み:UTXOベースのStakingコントラクト
BabylonはBitcoinのUTXOモデルを活用した独自のステーキングコントラクトを使います。基本フローは以下の通り。
- BTCホルダーが自身のBTCを、Babylonが定義した「タイムロック付きアウトプット」に送る。
- このUTXOは「Finality Provider(FP)」と呼ばれるPoSバリデーターに委任される。
- FPは委任されたBTCの経済的価値を担保にPoSネットワークの最終性投票に参加。
- FPが不正をしたら、対応するUTXOがslash(焼却)される。
- ステーキングを解除する際は約7日間(1,008ブロック)のアンボンディング期間を経てBTCが解放される。
BTCはずっとBitcoinチェーン上に存在し、ブリッジで他チェーンに送る必要がありません。これがBabylonの「Trustless Native BTC Staking」と呼ばれる根拠です。
BABYトークン
BABYはBabylon Genesisチェーンのネイティブトークンで、2025年4月10日にエアドロップとローンチが行われました。総供給量100億BABYのうち6億BABY(6%)が初期エアドロップの対象に。受給者は以下のグループでした。
- Phase 1のBitcoinステーカー
- Pioneer Pass NFTホルダー
- Finality Providers
- GitHubで貢献した認証済み開発者
BABYの主な役割:
- ガバナンス:Babylon DAOの議決権。
- ステーキング:BABYを単独またはBTCとco-stakingしてFPに委任。
- セキュリティ強化:BTCの安全性とBABYの安全性を組み合わせた「dual security」モデル。
- 報酬支払い:BSN(Bitcoin Secured Network)参加チェーンからの報酬がBABYで分配される設計。
Multi-Staking とBSNエコシステム
Babylonの強みは「1つのBTCで複数のPoSチェーンを同時にセキュアできる」マルチステーキング設計です。各PoSチェーンは「Bitcoin Secured Network(BSN)」としてBabylonに参加し、BTCの経済的価値を担保にしたセキュリティを共有できます。
2025年夏にはマルチステーキングとEVMサポートのテストネットがローンチされ、Q4にメインネット投入予定。これによりEVM互換のスマートコントラクトをBabylon Genesis上で実行できるようになり、BTCfi DeFiアプリケーションの基盤としての地位が更に強化される見込みです。
TVLとマーケットインパクト
- 2024年末:TVLが約56億ドルでピーク。BTCfiセクター全体の半分以上を占有。
- 2025年4月:BABYローンチ後、一時32%の急落(受給者のセル圧力)。
- 2026年5月:TVLは約40億ドルまで回復。BTCfi全体は74%縮小したが、Babylonは最も粘り強くシェアを維持。
- 機関導入:Hex Trustなど大手カストディアンが対応開始、機関投資家のBTCステーキング参入が始まっている。
注意点・リスク
- Slashing リスク:選んだFinality Providerが不正を行った場合、BTCがslashされる可能性。FP選択が重要。
- BABYトークンのインフレ:マルチステーキング開始時の報酬希薄化が論点として挙げられている。Babylonコミュニティでは「BTC-BABY co-staking」によるインフレ抑制案が議論中。
- UTXOロックの不可逆性:BTCをタイムロック付きアウトプットに送った後は、技術的にBitcoinチェーン上で復帰のために特定の手順を踏む必要がある。
- BTCfiセクター全体の縮小:BTCfi TVLが2024年ピークから74%減少しており、Babylon単独の頑張りでセクター全体を引き戻すのは難しい局面。
まとめ
Babylonは、BTCの「価値貯蔵としての完成度」と「PoSセキュリティへの貢献」を両立させた、技術的にもナラティブ的にも重要なプロジェクトです。UTXOベースのネイティブステーキング、Bitcoin Genesisメインネット、BABYトークンとマルチステーキング設計が組み合わさり、BTCfiの中核に位置づけられています。BTC保有者にとっては「持っているだけ」から「セキュリティ提供しながら報酬を得る」新しい選択肢が広がりました。