KYC(顧客の本人確認)の主な目的とは

KYC(Know Your Customer)は、金融機関や暗号資産取引所が顧客の本人確認を行うためのプロセスであり、以下の主な目的があります。

  1. マネーロンダリング防止(AML):
    • 暗号資産取引所を利用して不正に得られた資金を合法的に見せかける行為(マネーロンダリング)を防ぐために、顧客の身元を確認します。
  2. テロ資金供与防止(CFT):
    • テロリストが資金を調達することを防ぐために、顧客の身元を確認し、不審な取引を監視します。
  3. 詐欺防止:
    • 詐欺行為を防止し、取引の透明性と信頼性を確保するために、顧客の身元を確認します。
  4. 法令遵守:
    • 各国の規制に従い、取引所が法的義務を履行するために顧客情報を収集し、保持します。
  5. 取引の透明性向上:
    • 顧客の身元確認を通じて、取引の透明性を高め、市場の健全性を維持します。

KYCの準拠法の名称

KYCは、各国の法律や規制に基づいて実施されます。主な準拠法は以下の通りです。

  • アメリカ合衆国:
    • Bank Secrecy Act (BSA): 銀行秘密法とも呼ばれ、1970年に成立し、金融機関にKYCとAMLの義務を課しています。
    • USA PATRIOT Act: 2001年に成立し、テロ対策の一環として、金融機関に厳格なKYCとAMLの実施を求めています。
  • ヨーロッパ連合:
    • Anti-Money Laundering Directive (AMLD): ヨーロッパ全域で適用されるマネーロンダリング防止指令で、金融機関にKYCの義務を課しています。最新の指令は第5次指令(5AMLD)です。
  • 日本:
    • 犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法): 2008年に施行され、金融機関や暗号資産取引所に対してKYCとAMLの実施を義務付けています。
  • 国際的なガイドライン:
    • Financial Action Task Force (FATF): 1989年に設立された国際的なマネーロンダリング防止機関で、各国に対してAMLとKYCのガイドラインを提供しています。

参考情報

KYCは、マネーロンダリング防止、テロ資金供与防止、詐欺防止、法令遵守、取引の透明性向上などの目的で実施され、これらの目的を達成するために各国の法律や国際的なガイドラインに基づいて行われます。