暗号資産(仮想通貨)の世界に足を踏み入れると、Degen(ディジェン)という言葉をよく耳にするようになります。Degenとは「Degenerate(デジェネレイト)」の略で、直訳すると「退廃した人」「堕落した人」という意味ですが、クリプト業界ではハイリスク・ハイリターンの投資行動を好む人々を指すスラングとして広く使われています。
もともとはギャンブラーやリスクの高い投機を行う人に対するネガティブな意味合いの言葉でしたが、クリプトコミュニティにおいては自嘲的・親しみを込めた意味で使われることが多く、「自分はDegenだ」と誇らしげに名乗るトレーダーも少なくありません。
この記事では、Degenの意味や使われ方、Degen的な投資行動の特徴、さらにはDegen Chainというブロックチェーンプロジェクトまで、クリプト初心者にもわかりやすく解説します。
Degenの意味とクリプト界での使われ方
Degenという言葉は、クリプト界では複数のニュアンスで使われます。場面に応じてその意味合いが変わるため、コンテキストを理解することが大切です。
ハイリスク投資家としてのDegenが最も一般的な意味です。十分なリサーチをせずに、高いリターンを期待して新しいトークンやプロジェクトに飛び込む人々を指します。「ape in(エイプイン:猿のように飛び込む)」という行動が典型的なDegen行為です。新しいDeFiプロトコルが登場するとすぐに資金を預けたり、ミームコインのローンチに真っ先に参加したりするのがDegenの行動パターンです。
イールドファーミングにおけるDegenは、DeFiで非常に高いAPY(年利)を追い求めて、次々とプロトコル間で資金を移動させる行動を指します。数千%のAPYを提示する新しいファームに即座に参入し、利回りが下がると別のファームに移動する。この行動パターンは「Degen farming」や「yield degen」と呼ばれます。
自嘲・仲間意識としてのDegenも重要なニュアンスです。クリプトTwitter(CT)では「I am such a degen(俺ってほんとDegenだわ)」のように、自分のリスクの高い投資行動を自嘲的に語ることがよくあります。これはコミュニティ内の仲間意識を表す表現でもあり、必ずしもネガティブな意味ではありません。
NFT分野でのDegenは、新しいNFTコレクションがミント(発行)されるたびに参加し、利益が出たらすぐにフリップ(転売)する行動を指します。PFP(プロフィール画像)系NFTの投機的な取引を頻繁に行う人々もDegenと呼ばれます。
Degenの典型的な行動パターン
Degenと呼ばれる人々には、いくつかの典型的な行動パターンがあります。自分が当てはまるかチェックしてみてください。
DYOR(Do Your Own Research)をスキップするのが最も典型的なDegen行動です。プロジェクトのホワイトペーパーやチームの経歴を確認せず、Twitterで話題になっているというだけで投資してしまいます。「あの有名インフルエンサーが推してるから」という理由だけで大金を投じることも。
レバレッジ取引を多用するのもDegenの特徴です。10倍、50倍、時には100倍といった高レバレッジでの先物取引を好み、大きな利益と引き換えに清算(ロスカット)のリスクを受け入れます。
ミームコインへの全力投資もDegen行動の代表です。DOGEやSHIBの成功に触発されて、次のミームコインを探し続け、ローンチ直後のトークンに大きな資金を投入します。
深夜のトレードは世界中のDegenに共通する特徴です。暗号資産市場は24時間動いているため、重要なイベントやトークンのローンチに合わせて睡眠時間を犠牲にすることが日常的です。
損失を「授業料」と呼ぶのもDegen文化の一部です。大きな損失を出しても「高い授業料を払った」とポジティブに捉え、次の投資機会を探し続けます。
Degen Chain(ディジェンチェーン)とは
「Degen」という名前を冠したブロックチェーンプロジェクトも存在します。Degen Chainは、Baseチェーン(Coinbaseのレイヤー2)上に構築されたレイヤー3ブロックチェーンです。
Degen Chainは、SNSプラットフォームFarcaster(ファーキャスター)のコミュニティから生まれました。FarcasterはWeb3のソーシャルメディアプラットフォームで、その中で「DEGEN」というティッピング(チップ)用トークンが流通していました。このDEGENトークンのエコシステムを拡張するために、専用のレイヤー3チェーンが立ち上げられたのです。
Degen Chainの特徴は、超低コスト・高速のトランザクション処理が可能なことです。ガス代としてDEGENトークンを使用し、ソーシャルメディアでのマイクロペイメントやカジュアルな取引に適した設計になっています。
また、DEGENトークンは「Degen tipping」と呼ばれるFarcaster上のチップ機能で広く使われており、良い投稿に対してDEGENトークンを送るというカルチャーが形成されています。このようなコミュニティ主導のトークンエコノミーが、Degen Chainの独自性と言えます。
Degenにならないための注意点
Degen的な投資行動は時に大きなリターンをもたらすこともありますが、多くの場合、重大な損失につながります。初心者が気をつけるべきポイントをまとめます。
必ずDYOR(自分で調査)することが最も重要です。プロジェクトのホワイトペーパー、チームの経歴、コードの監査状況、トークンの配分計画などを確認してから投資判断を行いましょう。
失っても良い金額だけを投資するという原則を守りましょう。特に新しいプロジェクトやミームコインへの投資は、投資額がゼロになることを前提にすべきです。
FOMO(Fear Of Missing Out)に負けないことも大切です。「今買わないと間に合わない」という焦りは、多くの場合、判断を誤らせます。良い機会は何度でも訪れます。
分散投資を心がけることで、一つのプロジェクトが失敗しても全体の損失を抑えられます。一つのトークンに全資金を投入するのは典型的なDegen行動です。
まとめ
Degen(ディジェン)は、暗号資産コミュニティにおいてハイリスクな投資行動を好む人々を指すスラングです。自嘲的・親しみを込めた使い方もされますが、実際のDegen的な投資行動は大きな損失を招くリスクがあります。
Degen Chainのように、この言葉がプロジェクト名として採用されるほど、クリプト文化に深く根付いています。クリプト界のカルチャーを理解するうえで欠かせない用語の一つと言えるでしょう。
投資においては、Degenの精神(チャレンジ精神や情報感度の高さ)の良い部分を学びつつも、適切なリスク管理を忘れないことが大切です。