Lido(リド)とは — 最大のリキッドステーキングプロトコルの仕組みと特徴を解説

Lido(リド)は、暗号資産のステーキングをより簡単かつ柔軟にする「リキッドステーキング」プロトコルです。従来のステーキングでは、資産をロックアップする必要があり、ステーキング期間中はその資産を他の用途に使うことができませんでした。Lidoはこの問題を解決し、ステーキングしながら資産の流動性を維持する革新的な仕組みを提供しています。

2020年12月にEthereumのビーコンチェーン(PoS移行のためのチェーン)と同時期にローンチされたLidoは、急速に成長を遂げました。現在ではDeFi全体で最大のTVL(Total Value Locked)を持つプロトコルの一つとなっており、Ethereumのステーキング市場でも約30%のシェアを占めています。

本記事では、Lidoの仕組み、stETHの特徴、LDOトークンのガバナンス機能、そしてリキッドステーキング市場における位置づけについて詳しく解説します。

リキッドステーキングとは何か

Ethereumがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行して以降、ETHをステーキングすることでネットワークの検証に参加し、報酬を得ることができるようになりました。しかし、直接ステーキングには32ETH(数百万円相当)という最低要件があり、さらにステーキングした資産は一定期間ロックされます。

リキッドステーキングは、これらの課題を解決するアプローチです。ユーザーが資産をリキッドステーキングプロトコルに預けると、プロトコルがその資産を代わりにステーキングし、預け入れた資産と1対1で対応する「リキッドステーキングトークン(LST)」を発行します。このLSTは自由に売買や担保利用が可能であり、ステーキング報酬も自動的に反映されます。

つまり、リキッドステーキングを利用すれば、少額からステーキングに参加でき、ステーキング中も資産の流動性を維持し、さらにDeFiで運用することで追加の利回りを得ることも可能になるのです。

Lidoの仕組みとstETH

Lidoにおけるリキッドステーキングの仕組みは非常にシンプルです。ユーザーがLidoのスマートコントラクトにETHを預けると、同量のstETH(Staked ETH)が発行されます。預けられたETHは、Lido DAOが選定したプロフェッショナルなノードオペレーターによってステーキングされます。

stETHの大きな特徴は「リベース方式」を採用していることです。これは、ステーキング報酬が毎日自動的にstETHの残高に反映される仕組みです。たとえば、100stETHを保有している場合、翌日には報酬分が加算されて100.01stETHのように残高が増加します。特別な操作は一切不要で、ウォレットに保有しているだけで報酬が蓄積されていきます。

また、DeFiプロトコルとの互換性を高めるために「wstETH(Wrapped stETH)」も提供されています。wstETHはリベースせず、トークンの価値自体が時間とともに上昇する方式を採用しています。Aave、MakerDAO、Curveなど多くのDeFiプロトコルでwstETHが担保資産として利用可能です。

2023年のEthereum上海アップグレード以降、stETHからETHへの引き出し(アンステーキング)も可能になりました。Lidoの引き出しキューを通じて、通常数日以内にETHを受け取ることができます。

LDOトークンとガバナンス

LDO(Lido DAO Token)は、Lidoプロトコルのガバナンストークンです。LDOホルダーは、Lido DAOの意思決定に投票で参加することができます。具体的には、ノードオペレーターの選定・追加・削除、手数料率の変更、プロトコルのアップグレード、財務資金の使途などに関する提案に投票できます。

Lidoのステーキング報酬からは10%の手数料が徴収され、その半分(5%)がノードオペレーターに、残り半分(5%)がLido DAOの財務に充てられます。ユーザーは残りの90%をステーキング報酬として受け取ります。

LDOの総発行量は10億枚で、DAOの財務、投資家、チーム、バリデーター・署名者への報酬などに分配されています。ガバナンスの分散化を促進するため、段階的にトークンの分配が進められてきました。

なお、LDOはあくまでガバナンストークンであり、stETHとは異なりステーキング報酬を直接受け取る機能はありません。LDOの価値は、Lidoプロトコルの成長と、ガバナンス参加権としての需要に基づいています。

Lidoの市場シェアと今後の課題

Lidoは、リキッドステーキング市場において圧倒的なシェアを持っています。2024年時点で、Ethereum上のステーキングETHの約30%がLidoを経由しており、TVLは常にDeFi全体のトップクラスに位置しています。stETHはDeFiエコシステムで最も広く使われるLSTとなり、事実上の標準的なリキッドステーキングトークンとしての地位を確立しています。

しかし、この高い市場シェアは中央集権化リスクとして議論の対象にもなっています。単一のプロトコルがステーキング市場の大きな割合を占めることは、Ethereumの分散性に影響を与える可能性があるためです。Lido DAOもこの課題を認識しており、ノードオペレーターの多様化やDVT(Distributed Validator Technology)の導入を進めています。

競合としては、Rocket Pool、Frax Finance、Coinbase(cbETH)などが挙げられますが、TVLと採用率ではLidoが大きくリードしています。今後はマルチチェーン展開や、Ethereum以外のネットワークへの対応拡大も重要なテーマとなるでしょう。

まとめ

Lidoは、リキッドステーキングという新しいカテゴリーを確立し、DeFi最大級のプロトコルに成長しました。ETHをステーキングしながらstETHとして流動性を維持できる仕組みは、多くのユーザーとDeFiプロトコルに支持されています。

stETHは単なるステーキング派生トークンを超え、DeFiエコシステムにおける基軸的な担保資産としての役割を果たしています。LDOトークンによる分散型ガバナンスも機能しており、プロトコルの重要な意思決定がコミュニティ主導で行われています。

市場シェアの集中という課題はありますが、DVTの導入やノードオペレーターの分散化に積極的に取り組んでいる点は評価に値します。PoSブロックチェーンにおけるステーキングの在り方を根本から変えたLidoは、今後もDeFiの中核を担うプロトコルであり続けるでしょう。