Blast(ブラスト)とは — ネイティブイールド付きL2

ブロックチェーン業界では、イーサリアムのレイヤー2(L2)ソリューションが次々と登場し、激しい競争を繰り広げています。その中でも異彩を放つ存在が「Blast(ブラスト)」です。Blastは、ネットワーク上に預けられた資産に対してネイティブイールド(自動利回り)を提供するという、他のL2にはないユニークな特徴を持っています。

Blastは、NFTマーケットプレイスBlurの創設者であるPacman(パックマン)氏によって立ち上げられました。2024年2月にメインネットがローンチされ、ローンチ前のデポジットキャンペーンでは数十億ドル規模の資金を集めるなど、大きな注目を浴びました。

本記事では、Blastの仕組みやネイティブイールドの詳細、エコシステムの現状、そしてリスクと今後の展望について解説していきます。

Blastの基本概要とネイティブイールドの仕組み

Blast(ブラスト)は、Optimistic Rollup技術を採用したイーサリアムのレイヤー2ネットワークです。技術的な基盤としては他のOptimistic Rollup系L2と同様にイーサリアムのセキュリティを継承していますが、最大の差別化ポイントはネイティブイールドにあります。

ネイティブイールドとは、Blast上に保有しているETHやステーブルコインが、特別な操作をしなくても自動的に利回りを生み出す仕組みのことです。具体的には以下のようなメカニズムで実現されています。

ETHのイールド:Blast上のETHは、バックエンドでLido(リド)などのリキッドステーキングプロトコルを通じてステーキングされています。このステーキング報酬がBlast上のETH残高に自動的に反映されるため、ユーザーは何もしなくてもETHの残高が増加していきます。年利は概ね3〜4%程度となっています。

ステーブルコインのイールド:Blast上にブリッジされたDAI、USDC、USDTなどのステーブルコインは、自動的にUSDB(Blastのネイティブステーブルコイン)に変換されます。USDBはMakerDAO(現Sky)のDSR(DAI Savings Rate)を通じて利回りを獲得しており、こちらも保有するだけで自動的にイールドが発生します。

この仕組みにより、Blast上で資産を保有しているだけで、他のL2チェーンよりも資本効率が高い状態が維持されます。DeFiプロトコルの開発者にとっても、ベースとなる利回りが存在することで、より高いAPY(年利回り)を提供するプロダクトを設計しやすくなるというメリットがあります。

エアドロップとBlastポイントシステム

Blastが急速に注目を集めた要因の一つが、大規模なエアドロップキャンペーンとポイントシステムです。

Blastはメインネットローンチ前の2023年11月から「Invite-Only」のデポジットキャンペーンを開始しました。ユーザーがETHやステーブルコインをBlastのブリッジコントラクトに預けると、「Blast Points」が付与される仕組みです。このポイントは将来のエアドロップ(トークン配布)の配分に影響するため、多くのユーザーが積極的に資金を預け入れました。

結果として、メインネットローンチ時点でのTVL(預かり資産総額)は約20億ドルを超え、既存のL2チェーンの多くを上回る規模に達しました。この手法は「ポイントファーミング」と呼ばれ、2024年のDeFiトレンドの一つとなりました。

2024年6月にはBLASTトークンのエアドロップが実施され、ポイント保有者やBlast上のdApp利用者に対してトークンが配布されました。ただし、エアドロップの配分方法や金額に対しては一部のコミュニティメンバーから批判的な声も上がりました。

Blast Goldというもう一つのポイントシステムも存在し、こちらはBlast上のdApp開発者や特定のプロトコルを利用するユーザーに配布されました。これにより、エコシステム全体でのアクティビティを促進する仕組みが構築されました。

Blastのエコシステムと主要プロジェクト

Blastのエコシステムには、DeFi、NFT、ゲーム、ソーシャルなどさまざまな分野のプロジェクトが展開されています。

Thruster(スラスター)は、Blast上を代表するDEX(分散型取引所)の一つです。UniswapライクなAMMモデルを採用しつつ、Blastのネイティブイールドを活用した独自の流動性インセンティブを提供しています。

Juice Finance(ジュースファイナンス)は、レバレッジドイールドファーミングプラットフォームとして、Blastのネイティブイールドを最大化するための戦略を提供しています。ユーザーはレバレッジをかけてイールドを増幅させることが可能です。

Blur(ブラー)との連携も重要です。Blastの創設者がBlurの創設者でもあることから、NFTマーケットプレイスのBlurとBlastは密接な関係にあります。BlurのNFTトレーダーがBlastエコシステムに参入する導線が自然に構築されています。

また、Fantasy TopPAC Financeなど、ゲームやレンディングプロトコルもBlast上で展開されており、エコシステムの多様化が進んでいます。

リスクと今後の展望

Blastは革新的な仕組みを提供していますが、いくつかのリスクや課題も認識しておく必要があります。

スマートコントラクトリスク:ネイティブイールドの仕組みは、Lido、MakerDAOなど外部プロトコルへの依存を前提としています。これらのプロトコルに脆弱性が発見された場合、Blast上の資産にも影響が及ぶ可能性があります。

中央集権性:ローンチ当初は、ブリッジコントラクトがマルチシグウォレットによって管理されており、その透明性に対する懸念が指摘されていました。分散化のロードマップは示されていますが、現時点での中央集権的な要素は注意が必要です。

持続可能性:エアドロップやポイントインセンティブによって集められたTVLが、インセンティブ終了後も維持されるかどうかは不透明です。実際、BLASTトークンのエアドロップ後にはTVLの流出が見られました。

今後のBlastは、ネイティブイールドという独自の価値提案を軸に、持続可能なエコシステムを構築できるかが重要な鍵となります。イールドを活用した新しいDeFiプロダクトの登場や、開発者コミュニティの成長が、Blastの長期的な競争力を左右するでしょう。

まとめ

Blast(ブラスト)は、ネイティブイールドという独自の仕組みを持つイーサリアムL2チェーンです。ETHやステーブルコインを保有するだけで自動的に利回りが発生するという特徴は、他のL2チェーンとの明確な差別化となっています。

Blurの創設者による立ち上げ、大規模なエアドロップキャンペーン、そして急速なTVL成長と、話題性に事欠かないプロジェクトですが、中央集権性やインセンティブ終了後の持続可能性といった課題も存在します。

ネイティブイールドという新しい概念がL2の標準機能となるのか、それともBlast独自の実験に留まるのか。今後のブロックチェーン業界の方向性を占う上でも、Blastの動向は注視しておくべきでしょう。