お削りとは

「お削り」は、DeFi(分散型金融)プロジェクトにおいて、取引やサービスの利用を通じて手数料を支払いながら、その対価としてプロジェクトからポイントや報酬を獲得する行為を指す日本語圏のクリプトスラングです。このポイントは将来的にトークンとして配布(エアドロップ)される可能性があり、ユーザーはトークン獲得を目的に積極的にプロジェクトを利用します。

「お削り」という表現には、「手数料を削られながらもコツコツとポイントを貯める」という自嘲的なニュアンスが込められています。手数料という「痛み」を伴いながらも将来のリターンを信じて行動する、クリプトユーザー独特の投資行動を表す言葉です。

お削りの仕組みと背景

お削りが広まった背景には、ポイントプログラムの普及があります。2023年以降、多くのDeFiプロジェクトが独自のポイントシステムを導入するようになりました。従来のエアドロップでは、一定の条件を満たしたユーザーに対してトークンが無料で配布されていましたが、ポイントプログラムではプロトコルの利用量に応じてポイントが付与され、そのポイント量に基づいてトークンが分配される仕組みが主流になりました。

この仕組みにおいて、ユーザーはより多くのポイントを獲得するために取引回数を増やしたり、取引量を大きくしたりします。その際に発生する手数料(ガス代やプロトコルフィー)が「削られる」部分であり、将来のトークン報酬がその投資に対するリターンとなります。

たとえば、あるDEX(分散型取引所)がポイントプログラムを実施している場合、ユーザーはそのDEXで積極的にスワップ(交換)を行い、取引ごとにポイントを獲得します。最終的にプロジェクトがトークンを発行する際、獲得ポイント量に応じてトークンが配布される流れです。

お削りの具体的な手法

DEXでのスワップは最も基本的なお削り手法です。対象プロジェクトのDEXで頻繁にトークンのスワップを行い、取引量に応じたポイントを獲得します。ガス代とスワップ手数料がコストとなりますが、大量のポイントを効率的に稼げる方法です。

流動性提供(LP)もお削りの主要な手法です。DEXの流動性プールに資金を預け入れることで、取引手数料の分配を受けると同時にポイントも獲得します。インパーマネントロス(一時的な損失)のリスクがありますが、ポイント効率が高い場合が多いです。

レンディング(貸出)を活用したお削りもあります。レンディングプロトコルに資産を預けたり、借り入れを行ったりすることでポイントを獲得します。借入の場合は利息というコストが発生しますが、トークンのエアドロップで相殺できることを期待して行います。

ブリッジ(クロスチェーン送金)もお削りの対象になることがあります。異なるブロックチェーン間での資産移動を行うブリッジプロトコルがポイントプログラムを実施している場合、ブリッジ手数料を支払いながらポイントを獲得します。

お削りのリスクと注意点

コスト倒れのリスクが最大の懸念です。手数料を支払ってポイントを貯めても、最終的なトークンの価値が手数料を下回る場合、純損失となります。特に、エアドロップの実施が確約されていないプロジェクトでは、全くリターンが得られない可能性もあります。

スマートコントラクトのリスクも忘れてはなりません。お削りのためにDeFiプロトコルに資金を預ける行為は、スマートコントラクトのバグやハッキングにより資金を失うリスクを伴います。監査済みのプロトコルを選ぶことが重要です。

Sybil判定のリスクもあります。プロジェクト側は、複数アカウントを使ったポイントの不正取得(Sybil Attack)を排除する仕組みを導入していることがあり、正当なユーザーでも判定基準に引っかかるとエアドロップ対象外になる可能性があります。

機会費用も考慮すべきです。お削りに投じた資金と時間を、他の投資に回していた場合のリターンと比較することも重要です。

まとめ

「お削り」は、DeFiプロジェクトのポイントプログラムを通じて、手数料を支払いながらポイントを蓄積し、将来のトークンエアドロップを狙う行為を指すクリプトスラングです。手数料という「痛み」を伴う投資行動ですが、成功すれば大きなリターンが得られる可能性があります。一方で、コスト倒れやスマートコントラクトのリスクも存在するため、参加するプロジェクトの信頼性を見極め、投じる資金とリスクのバランスを慎重に判断することが重要です。