TPS(Transactions Per Second)とは、ブロックチェーンが1秒間に処理できるトランザクション(取引)の最大件数を示す指標です。ブロックチェーンのスケーラビリティと性能を比較する際に最もよく使われる数値であり、数字が大きいほど「同時に多くの処理をこなせる」ことを意味します。ただし、TPSは単純に高ければよいというものではなく、セキュリティや分散性とのバランスが重要です。

技術的な仕組みをわかりやすく

ブロックチェーンのTPSは、主に以下の要素によって決まります。

  • ブロックサイズ:1つのブロックに格納できるデータ量(バイト数)が大きいほど、1ブロックあたりに含められるトランザクション数が増えます。
  • ブロック生成間隔:新しいブロックが作られるまでの時間が短いほど、単位時間あたりの処理件数が増えます。ビットコインは約10分、Solanaは約400ミリ秒です。
  • コンセンサスアルゴリズム:PoW(プルーフ・オブ・ワーク)は安全性が高い一方でTPSが低く、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)やDPoS(委任型PoS)はより高いTPSを実現できます。
  • Layer 2・シャーディング:メインチェーンの外で処理をまとめる技術(Layer 2)や、チェーンを並列化するシャーディングによって、実効TPSを大幅に引き上げることができます。

注意点として、公称TPSと実測TPSは異なる場合があります。たとえばSolanaはSolana Labsが公称TPS 65,000以上を掲げていますが、実際の平均は数千件程度であることが多いです。また、失敗したトランザクションや投票トランザクションをTPSに含めるかどうかで数値が変わります。

具体的な使用例・プロジェクト

各ブロックチェーンのTPS比較は、開発者がプラットフォームを選定する際の重要な指標となります。

  • ビットコイン(BTC):PoWを採用し、安全性と分散性を最優先。TPSは3〜7程度と低いが、金融資産としての信頼性は最高水準です。
  • Ethereum(ETH):PoSへ移行後もL1のTPSは15〜30程度だが、OptimismやArbitrumなどのLayer 2を使うと数千TPSに相当する処理が可能です。
  • Solana(SOL):PoH(プルーフ・オブ・ヒストリー)という独自機構で高TPS(数千〜数万)を実現。ただしネットワーク停止の問題が複数回発生しています。
  • Visa(比較対象):クレジットカードネットワークのVisaは通常約1,700TPS、ピーク時24,000TPSとされており、主要ブロックチェーンがまだ追いついていないことがわかります。

メリット・課題・限界

  • 高TPSのメリット:多くのユーザーが同時に取引しても遅延が起きにくく、ガス代の高騰も抑えられます。ゲームやDeFiなど高頻度な処理が必要なアプリケーションに向いています。
  • 課題:ブロックチェーントリレンマ:「スケーラビリティ・セキュリティ・分散性」の3つを同時に高めることが難しいとされています。TPSを上げるためにバリデーターを少数に絞ると、中央集権化のリスクが高まります。
  • 限界:TPSはスループットの目安にすぎず、実際の体感速度はレイテンシ(確定までの時間)や手数料にも左右されます。高TPSのチェーンが常に優れているとは限りません。
ブロックチェーンTPS(目安)ブロック確定時間コンセンサス
ビットコイン(BTC)3〜7約10分PoW
イーサリアム(ETH)15〜30約12秒PoS
ソラナ(SOL)数千〜数万約400msPoH+PoS
アバランチ(AVAX)4,500〜1〜2秒Avalanche合意
リップル(XRP)約1,5003〜5秒RPCA
Visa(参考)約1,700(ピーク24,000)即時(中央管理)中央集権型