トークンの多様な世界：主要なトークンの概念とその用途 - クリプト事典

ブロックチェーン技術の進化とともに、多様な種類のトークンが登場し、それぞれが異なる用途や機能を持っています。この記事では、主要なトークンの概念とその具体的な利用例を包括的に解説します。

1. セキュリティトークン（Security Tokens）

概要
セキュリティトークンは、従来の証券（株式、債券、不動産など）をトークン化したもので、投資家に対して法的な権利や利益を提供します。これらのトークンは、既存の金融規制に準拠しています。

利用例

株式トークン：企業が株式をトークン化して発行。株主がデジタル形式で株式を保有・取引。
不動産トークン：不動産をトークン化し、分割所有と投資を可能に。
債券トークン：債券をトークン化し、デジタル形式で取引。

2. ガバナンストークン（Governance Tokens）

概要
ガバナンストークンは、ブロックチェーンプロジェクトや分散型アプリケーション（dApps）の意思決定プロセスに参加するためのトークンです。これらのトークンは、トークンホルダーにプロジェクトの運営や方向性に関する重要な決定事項についての投票権を提供します。

利用例

MakerDAO（MKR）：プロトコルの変更やアップグレードに関する投票。
Compound（COMP）：プロジェクトの提案やパラメータの調整に対する投票。

3. ユーティリティトークン（Utility Tokens）

概要
ユーティリティトークンは、特定のプロジェクトやプラットフォーム内で使用されるトークンで、通常は製品やサービスにアクセスするための手段として機能します。

利用例

Filecoin（FIL）：分散型ストレージネットワークでのストレージスペースの購入に使用。
Golem（GNT）：分散型コンピューティングネットワークでの計算リソースの購入に使用。

4. コモディティトークン（Commodity Tokens）

概要
コモディティトークンは、金、銀、石油、天然ガスなどの物理的な商品に裏付けられたデジタル資産です。これらのトークンは、商品の所有権をデジタル化し、取引の効率化や透明性の向上を図ります。

利用例

Tether Gold（XAUT）：金に裏付けられたトークン。1トークンが1オンスの金に相当。
PAX Gold（PAXG）：実物の金に裏付けられたトークンで、金の取引を容易に。

5. ステーブルコイン（Stablecoins）

概要
ステーブルコインは、価値が比較的安定しているデジタル資産です。これらのトークンは、通常、法定通貨やその他の資産（例：金）にペッグ（連動）されており、価格の変動を抑えることを目的としています。

利用例

法定通貨ペッグ：USDT（Tether）、USDC（USD Coin）
コモディティペッグ：DGX（Digix Gold）

6. ファンジブルトークン（Fungible Tokens）

概要
ファンジブルトークンは、他の同じトークンと交換可能なトークンです。各トークンは同じ価値を持ち、互換性があります。仮想通貨の多くはファンジブルトークンです。

利用例

ビットコイン（Bitcoin）：各ビットコインは他のビットコインと同等の価値を持ちます。
イーサリアム（Ethereum）：各イーサは他のイーサと同等の価値を持ちます。

7. ノンファンジブルトークン（Non-Fungible Tokens, NFTs）

概要
ノンファンジブルトークン（NFTs）は、一意の資産を表すトークンです。各NFTは固有の情報を持ち、他のトークンと交換することができません。これにより、デジタルアート、コレクティブル、ゲーム内アイテムなどの唯一無二の資産を表現することができます。

利用例

デジタルアート：Beepleの作品「Everydays: The First 5000 Days」
ゲーム内アイテム：CryptoKitties、Axie Infinity

8. リワードトークン（Reward Tokens）

概要
リワードトークンは、ユーザーや参加者に対して報酬として発行されるトークンです。これらは、エコシステム内でのアクティビティや貢献を奨励するために使用されます。

利用例

バット（BAT, Basic Attention Token）：ユーザーが広告を視聴することで報酬として得られるトークン。
STEEM：Steemitプラットフォームでコンテンツを投稿・キュレーションすることで報酬として得られるトークン。

9. プラットフォームトークン（Platform Tokens）

概要
プラットフォームトークンは、特定のブロックチェーンプラットフォーム上での取引や操作を行うために使用されるトークンです。これらは、スマートコントラクトの実行や取引手数料の支払いに使用されます。

利用例

イーサ（ETH）：Ethereumプラットフォーム上のスマートコントラクトの実行や取引手数料の支払いに使用。
バイナンスコイン（BNB）：Binance取引所の取引手数料の割引や、Binance Smart Chain上のトークン。

10. アクセス＆メンバーシップトークン（Access & Membership Tokens）

概要
これらのトークンは、特定のサービスやプラットフォームへのアクセス権やメンバーシップを提供します。特定のコミュニティやプラットフォームにアクセスするための「入場券」として機能します。

利用例

Chiliz（CHZ）：スポーツやエンターテインメント関連のファントークンへのアクセス。
Friends With Benefits（FWB）：クリエイティブコミュニティのメンバーシップトークン。

11. チャリティートークン（Charity Tokens）

概要
チャリティートークンは、慈善活動や社会貢献を目的として発行されるトークンです。寄付者は、これらのトークンを通じて寄付を行い、その使途を追跡することができます。

利用例

GiveCrypto：仮想通貨を通じて世界中の貧困層に寄付を行うプロジェクト。
AidCoin：ブロックチェーン技術を利用した慈善寄付の透明性向上を目的としたトークン。

12. ペイメントトークン（Payment Tokens）

概要

ペイメントトークンは、主に商品の購入やサービスの支払いに使用されるトークンです。これらのトークンは、デジタル通貨として機能し、迅速かつ低コストでの支払いを可能にします。

利用例

ビットコイン（Bitcoin）：最も広く認知されているペイメントトークンで、さまざまな商品やサービスの支払いに使用されます。
ライトコイン（Litecoin）：ビットコインよりも迅速な取引確認時間を持つペイメントトークン。

13. デリバティブトークン（Derivative Tokens）

概要

デリバティブトークンは、基礎となる資産の価値に依存するトークンです。これらのトークンは、オプション、先物契約、スワップなど、金融デリバティブのデジタル化を可能にします。

利用例

Synthetix：暗号資産、法定通貨、コモディティなどを基にしたデリバティブトークンを発行する分散型プロトコル。
UMA（Universal Market Access）：任意のデリバティブトークンを作成し取引するためのプラットフォーム。

14. クレジットトークン（Credit Tokens）

概要

クレジットトークンは、貸し付けや借り入れに関連するトークンです。これらのトークンは、貸し手と借り手の間で資産を移転し、利息や元本の支払いを管理するために使用されます。

利用例

Aave：ユーザーが資産を貸し出し、利息を稼ぐことができる分散型金融プロトコル。
Compound：ユーザーが資産を貸し借りし、利息を稼ぐことができるプラットフォーム。

15. セキュリティトークンオファリング（STO）トークン

概要

STOトークンは、セキュリティトークンオファリング（STO）を通じて発行されるトークンで、証券法に準拠しています。これらのトークンは、投資家に対して法的な権利や利益を提供します。

利用例

Polymath：セキュリティトークンの発行と管理を支援するプラットフォーム。
tZERO：セキュリティトークンの取引を可能にするプラットフォーム。

16. リキディティトークン（Liquidity Tokens）

概要

リキディティトークンは、流動性提供に関連するトークンです。これらのトークンは、流動性プールへの貢献に対する報酬として発行され、分散型取引所（DEX）での取引を促進します。

利用例

Uniswap LPトークン：流動性提供者が流動性プールに資産を供給することで得られるトークン。
Balancer LPトークン：バランサープールへの流動性提供に対する報酬として発行されるトークン。

17. ブリッジトークン（Bridge Tokens）

概要

ブリッジトークンは、異なるブロックチェーン間での資産移動を可能にするトークンです。これらのトークンは、異なるチェーン間の相互運用性を向上させます。

利用例

Wrapped Bitcoin (WBTC)：ビットコインの価値をEthereumネットワーク上でトークン化したもの。
RenBTC：ビットコインをEthereum上で利用するためのトークン。

18. コントリビューショントークン（Contribution Tokens）

概要

コントリビューショントークンは、特定のプロジェクトやコミュニティへの貢献に対して発行されるトークンです。これらのトークンは、開発者やユーザーのエンゲージメントを奨励します。

利用例

Gitcoin：オープンソースプロジェクトへの貢献に対して報酬を提供するプラットフォーム。
SourceCred：プロジェクトへの貢献に基づいてトークンを発行する仕組み。

19. 保険トークン（Insurance Tokens）

概要

保険トークンは、ブロックチェーンベースの保険プロダクトに関連するトークンです。これらのトークンは、保険契約の購入やリスクプールへの参加に使用されます。

利用例

Nexus Mutual：保険リスクをプールし、トークンを通じて保険カバーを提供する分散型保険プラットフォーム。
Etherisc：保険商品を構築・提供するためのプラットフォーム。

20. パーソナルトークン（Personal Tokens）

概要

パーソナルトークンは、個人が自分自身をトークン化するもので、特定のスキルやサービス、時間に対するアクセスを提供します。これらのトークンは、クリエイターやフリーランサーが自分の価値をデジタル形式で表現し、販売するために使用されます。

利用例

Rally：クリエイターが自分自身や自分のコンテンツに基づいたトークンを発行し、ファンと直接交流するためのプラットフォーム。
BitClout：有名人やインフルエンサーが自身のブランド価値をトークン化して取引できるプラットフォーム。

21. データトークン（Data Tokens）

概要

データトークンは、データの所有権やアクセス権を表すトークンです。これらのトークンは、データの販売、共有、利用に対するアクセス権を提供し、データエコシステムの透明性と効率を向上させます。

利用例

Ocean Protocol：データをトークン化して売買できるプラットフォーム。データ提供者はデータの利用に対する報酬を得られます。
Streamr：リアルタイムデータのマーケットプレイスで、データストリームをトークン化して取引します。

22. ブロックチェーントークン（Blockchain Tokens）

概要

ブロックチェーントークンは、特定のブロックチェーンプラットフォームの運営や開発に関連するトークンです。これらのトークンは、ノードの運営、ブロック生成、ネットワークのセキュリティ向上などに使用されます。

利用例

Tezos（XTZ）：Tezosブロックチェーン上でのガバナンスとネットワーク運営に使用されるトークン。
Cosmos（ATOM）：Cosmosネットワーク内のトランザクション手数料の支払いおよびネットワーク運営に使用されるトークン。

23. リベニュートークン（Revenue Tokens）

概要

リベニュートークンは、特定のプロジェクトや事業から得られる収益をトークンホルダーに分配するためのトークンです。これらのトークンは、配当や収益シェアリングの形式で利益を提供します。

利用例

RealT：不動産投資のリベニュートークンで、物件から得られる家賃収入をトークンホルダーに分配します。
DigixDAO（DGD）：金を担保とするプロジェクトからの収益をトークンホルダーに分配します。

24. クロスチェーントークン（Cross-Chain Tokens）

概要

クロスチェーントークンは、異なるブロックチェーンネットワーク間で相互運用性を提供するトークンです。これらのトークンは、異なるチェーン間での資産やデータの移動を可能にします。

利用例

Polkadot（DOT）：異なるブロックチェーンを接続し、相互運用性を提供するプラットフォームのネイティブトークン。
Chainlink（LINK）：スマートコントラクトを異なるブロックチェーンに接続するための分散型オラクルネットワーク。

25. セカンダリートークン（Secondary Tokens）

概要

セカンダリートークンは、既存のトークンのサブトークンとして機能し、特定の用途やプロジェクト内で使用されるトークンです。これらのトークンは、エコシステム内の特定の機能や役割を担います。

利用例

Kyber Network Crystal（KNC）：Kyber Networkの流動性プロトコル内で使用されるセカンダリートークン。
Balancer Pool Tokens（BPT）：Balancerプールにおける流動性提供を証明するトークン。

26. アセットバックトークン（Asset-Backed Tokens）

概要

アセットバックトークンは、物理的またはデジタル資産に裏付けられたトークンです。これらのトークンは、特定の資産の価値をデジタル形式で表現し、取引可能にします。

利用例

Tether Gold（XAUT）：金に裏付けられたトークンで、1トークンが1オンスの金に相当します。
PAX Gold（PAXG）：実物の金に裏付けられたトークンで、金の取引を容易にします。

27. クレジットデリバティブトークン（Credit Derivative Tokens）

概要

クレジットデリバティブトークンは、クレジットリスクを管理するためのトークンです。これらは通常、貸し手や投資家が借り手のデフォルトリスクをヘッジするために使用されます。

利用例

Credit Default Swaps（CDS）トークン：借り手のデフォルトリスクをヘッジするためのトークン化されたクレジットデリバティブ。

28. 予測市場トークン（Prediction Market Tokens）

概要

予測市場トークンは、未来のイベントの結果に基づいて価値が決まるトークンです。これらは、予測市場プラットフォームで使用されます。

利用例

Augur（REP）：予測市場プラットフォームで使用されるトークン。ユーザーはイベントの結果に賭けることができます。
Gnosis（GNO）：予測市場のためのプラットフォームトークン。

29. アクティビティトークン（Activity Tokens）

概要

アクティビティトークンは、特定の活動や行動に対する報酬として発行されるトークンです。これらは、特定の行動を促進するために使用されます。

利用例

Sweatcoin：歩数に基づいて発行されるトークン。ユーザーは歩くことでトークンを獲得できます。
Basic Attention Token（BAT）：広告の閲覧に基づいて報酬を得るためのトークン。

30. エコシステムトークン（Ecosystem Tokens）

概要

エコシステムトークンは、特定のエコシステム全体で使用されるトークンで、エコシステム内の取引やサービスの支払いに使用されます。

利用例

Tron（TRX）：Tronエコシステム内で使用されるトークン。dAppsの開発や利用に使用されます。
NEO（NEO）：NEOエコシステム内でのスマートコントラクト実行や取引手数料の支払いに使用されます。

31. アセットマネジメントトークン（Asset Management Tokens）

概要

アセットマネジメントトークンは、資産管理や投資ファンドの運営に関連するトークンです。これらのトークンは、投資家がファンドにアクセスし、投資を管理するために使用されます。

利用例

Melon（MLN）：分散型資産管理プラットフォームで使用されるトークン。
Enzyme Finance：投資ファンドの作成と運営に使用されるトークン。

32. ローントークン（Loan Tokens）

概要

ローントークンは、貸し付けや借り入れに関連するトークンです。これらのトークンは、貸し手と借り手の間での資産の移動や利息の支払いを管理します。

利用例

Aave（AAVE）：ユーザーが資産を貸し出し、利息を稼ぐためのプラットフォーム。
Compound（COMP）：ユーザーが資産を貸し借りし、利息を稼ぐためのプラットフォーム。

33. フィランソロピートークン（Philanthropy Tokens）

概要

フィランソロピートークンは、慈善活動や寄付を促進するためのトークンです。これらのトークンは、寄付者が寄付を行い、その使途を追跡するために使用されます。

利用例

AidCoin：慈善寄付の透明性向上を目的としたトークン。
GiveTrack：ブロックチェーンを利用して寄付の使途を追跡するプラットフォーム。

34. オラクルトークン（Oracle Tokens）

概要

オラクルトークンは、スマートコントラクトに外部データを提供するためのトークンです。これらのトークンは、スマートコントラクトが外部イベントやデータに基づいて実行されることを可能にします。

利用例

Chainlink（LINK）：分散型オラクルネットワークで使用されるトークン。
Band Protocol（BAND）：クロスチェーンデータオラクルプラットフォームで使用されるトークン。