Arbitrumとは?イーサリアムのL2ロールアップを解説

Arbitrum(アービトラム)は、Offchain Labs社が開発したイーサリアム向けのレイヤー2(L2)スケーリングソリューションです。イーサリアムが抱えるスケーラビリティの課題、すなわち処理速度の遅さやガス代の高騰を解決しながら、イーサリアム本体のセキュリティを引き継げることが最大の強みとなっています。

2021年8月のメインネットローンチ以降、DeFi(分散型金融)を中心に多数のプロジェクトがArbitrum上に展開され、総預入価値(TVL)でイーサリアムL2の中でトップクラスの規模を誇ります。Uniswap・GMX・Camelotなど有名プロトコルが数多く稼働しており、「L2のDeFiハブ」とも呼ばれる存在です。

オプティミスティック・ロールアップの仕組み

ArbitrumはオプティミスティックRollup(楽観的ロールアップ)方式を採用しています。この方式では、多数のトランザクションをオフチェーン(ブロックチェーン外)でまとめて処理し、その結果のみをイーサリアムに送信します。

「楽観的(Optimistic)」という名称は、基本的に取引を正しいものとして扱い、不正があった場合のみ7日間の「チャレンジ期間」内で異議申し立て(fraud proof)ができる点に由来します。ZKロールアップと比較すると、技術的な実装がシンプルで、EVM互換性が高いという利点があります。一方で、L1への出金に最大7日間かかるというデメリットも存在します。

Arbitrumの主要プロダクト

Arbitrumのエコシステムは複数のプロダクトで構成されています。それぞれが異なるユースケースに対応しており、幅広いニーズをカバーしています。

  • Arbitrum One:メインのL2チェーンであり、最も広く利用されているArbitrumネットワークです。DeFi・NFT・GameFiなど多様なdAppが稼働しています。
  • Arbitrum Nova:さらに低コスト・高速に特化したチェーンで、AnyTrust方式を採用しています。ゲームやSNSアプリなど、高頻度のトランザクションが求められる用途に適しています。
  • Arbitrum Orbit:企業や開発者が独自のL3(レイヤー3)チェーンを構築できるフレームワークです。アプリケーション固有のチェーンを低コストで立ち上げることが可能になります。
  • Stylus:RustやC++などWASM対応言語でスマートコントラクトを記述できる機能です。Solidityに加えてより多くのプログラミング言語でdApp開発ができるようになり、開発者のすそ野を広げています。

ARBトークンとガバナンス

2023年3月、Arbitrumは分散型自律組織(DAO)への移行とともにガバナンストークン「ARB」を発行しました。ローンチ時には過去のArbitrum利用者向けに大規模なエアドロップが実施され、大きな注目を集めました。

ARBを保有することでArbitrum DAOのガバナンス提案への投票に参加でき、プロトコルの方向性を決定する権利が得られます。DAO のトレジャリーには数十億ドル規模の資金が蓄積されており、エコシステムの成長施策やグラント配分はコミュニティ投票で決定されます。

主要なDeFiプロジェクト

Arbitrum One上にはDeFiの主要プロジェクトが集中しています。代表的なものとして、Uniswap(DEX)、GMX(分散型デリバティブ取引)、Camelot(DEX)、Radiant Capital(クロスチェーンレンディング)、Pendle(利回りトークン化)などが挙げられます。イーサリアムと同じDeFiを低コストで利用できる環境として、多くのユーザーに選ばれています。

基本情報

項目内容
開発元Offchain Labs(米国)
種別イーサリアムL2・オプティミスティックロールアップ
メインネット開始2021年8月
トークンARB(ガバナンストークン、2023年3月発行)
特徴L2最大級のTVL・豊富なDeFiエコシステム
課題チャレンジ期間7日間(L1への出金に時間がかかる)

まとめ

Arbitrumは、イーサリアムのスケーラビリティ問題を解決するL2ソリューションとして、DeFiエコシステムの中核的な存在となっています。オプティミスティックロールアップによる低コスト・高速処理に加え、Orbit・Stylusといった次世代プロダクトにより、L2の枠を超えた拡張性を持つプラットフォームへと進化を続けています。