Arweave(アーウィーブ)とは、データを半永久的に保存することを目的とした分散型ストレージ・ブロックチェーンである。「一度アップロードしたデータを、原則として永遠に保存する」という思想を掲げており、Web3、NFT、DAO、アーカイブ用途などで重要な基盤技術として利用されている。
IPFSが「分散配信の仕組み」であるのに対し、Arweaveは
「永続保存そのものを目的に設計されたチェーン」
である点が大きな違いである。
1. Arweaveの基本的な仕組み
Arweaveは、独自のブロックチェーン構造を用いてデータを保存する。
- データはトランザクションとしてチェーンに書き込まれる
- 書き込まれたデータは原則として削除不可
- ノードはデータを保持し続けることで報酬を得る
最大の特徴は、
「一度の支払いで永続保存を実現する経済設計」
にある。
ユーザーはアップロード時に AR トークンで一括支払いを行い、その一部が「ストレージ・エンダウメント(基金)」として運用され、将来の保存コストをまかなう仕組みになっている。
2. 「永久保存」を可能にする仕組み
Arweaveは単なる技術論ではなく、経済インセンティブ設計によって永続性を成立させている。
- 保存費用を前払い
- 基金が長期的に運用される
- ノードはランダムに過去データの保存を求められる
- 正しく保存していなければブロック生成に参加できない
この構造により、
「古いデータほど価値が高い」
という逆転したインセンティブが生まれている。
3. IPFSとの違い
ArweaveとIPFSは混同されやすいが、役割は明確に異なる。
| 項目 | IPFS | Arweave |
|---|---|---|
| 主目的 | 分散配信 | 永続保存 |
| データ保存 | 保持者がいないと消える | 原則消えない |
| ブロックチェーン | 使わない | 使用する |
| 支払い | 基本なし | 一度だけ前払い |
| NFT用途 | 一時保存向き | 恒久保存向き |
そのため実務では、
- IPFS:高速配信
- Arweave:アーカイブ・本体保存
と使い分けられることが多い。
4. NFT・Web3での利用例
Arweaveは以下の用途で重宝されている。
- NFTの画像・動画・メタデータの永久保存
- DAOの議事録・提案文書の保存
- 分散型SNSの投稿アーカイブ
- Web3アプリのフロントエンド
- 検閲耐性を重視したジャーナリズム用途
特にNFT界隈では、
「Arweave保存かどうか」 が
プロジェクトの信頼性判断材料になることもある。
5. メリット
- データが原則として消えない
- 中央管理者が存在しない
- 検閲耐性が高い
- 長期アーカイブ用途に強い
- Web3思想と親和性が高い
6. 注意点・課題
- 一度書き込んだデータは基本的に削除できない
- 誤情報や違法コンテンツの扱いが課題になり得る
- 大容量データでは初期コストが高くなる
- すべての用途に「永久保存」が必要なわけではない
7. 関連キーワード
- 永続ストレージ
- 分散型ストレージ
- データアーカイブ
- NFTメタデータ
- ARトークン
- ストレージ・エンダウメント
- 検閲耐性
Arweaveは、
「インターネットを記憶装置にする」
という思想を極端なまでに追求したプロジェクトである。
ブロックチェーンやWeb3の文脈において、
「消えてはいけない情報」を扱うとき、
Arweaveは最も本質的な選択肢のひとつと言える。

