IPFS(InterPlanetary File System/インタープラネタリー・ファイル・システム)とは、中央サーバーに依存せずにデータを保存・配信するための分散型ファイルシステムである。
Web3やブロックチェーン領域では、NFTの画像データやメタデータ、分散アプリ(dApp)のフロントエンドなどを保存する基盤技術として広く利用されている。
従来のWebが「場所(URL)」でデータを探す仕組みだったのに対し、IPFSは「内容(コンテンツ)」そのものを基準にデータを取得する点が最大の特徴である。
1. IPFSの基本的な仕組み
IPFSは、データをアップロードすると以下のような流れで管理される。
- ファイルは細かいブロックに分割される
- 各ブロックは暗号学的ハッシュ値を持つ
- そのハッシュ値をもとにデータが識別される
- 同じ内容のデータは、どこに保存されていても同一として扱われる
この仕組みにより、IPFSでは
「どこにあるか」ではなく「何であるか」
によってデータが取得される。
2. 従来のWebとの違い
■ 従来のWeb(HTTP)
- サーバーの場所(URL)を指定してデータを取得
- サーバーが落ちるとアクセス不能
- 検閲・改ざんに弱い
■ IPFS
- データの内容(ハッシュ)を指定して取得
- 複数ノードが同じデータを保持できる
- 一部のノードが消えてもデータは残りやすい
このため IPFS は
耐障害性・耐検閲性が高い と評価されている。
3. なぜクリプト・Web3で重要なのか
ブロックチェーンは「少量のデータを安全に記録する」ことには向いているが、
画像・動画・Webサイト全体の保存には向いていない。
そこで IPFS が使われる。
- NFTの画像・動画データ
- NFTのメタデータ(JSON)
- DAOやdAppのWebフロントエンド
- 分散型SNSの投稿データ
これにより、
「ブロックチェーン × 分散ストレージ」
という構造が成立する。
4. IPFSとNFTの関係
NFTでは、トークン自体はブロックチェーン上にあるが、
画像や説明文は外部ストレージに置かれることが多い。
IPFSを使うことで、
- NFT画像が特定の企業サーバーに依存しない
- 運営が消えてもデータが残りやすい
- 改ざんが困難になる
というメリットがある。
そのため
「IPFS保存かどうか」 は、NFTの信頼性を測る指標の一つとされることもある。
5. メリット
- 中央管理者が不要
- サーバーダウンに強い
- データ改ざんが困難
- 同一データの重複保存を防げる
- Web3思想(分散・検閲耐性)と相性が良い
6. 注意点・課題
- データは「誰かが保持し続けないと消える」可能性がある
- 永続保存にはインセンティブ設計が必要
- 一般ユーザーには仕組みがやや難しい
- 速度やUXは中央集権型サービスに劣る場合がある
この課題を補うために、
IPFSをベースにした「永続保存サービス」や「報酬設計」を持つプロジェクトも登場している。
7. 関連キーワード
- 分散型ストレージ
- コンテンツアドレス
- ハッシュ
- Web3
- NFTメタデータ
- 検閲耐性
- dApp

