Perp DEX(パープ・デックス) は、「永続先物(Perpetual Futures)」または「パーペチュアル契約(Perps)」を中央管理者を介さずに、スマートコントラクト上で取引できる分散型取引所(DEX)のことです。
従来のスポットDEXが「資産の現物取引」を提供するのに対し、Perp DEXは「価格変動の予測・投機」に特化した取引を、ブロックチェーン上のスマートコントラクトによって提供します。
1. Perp DEXの仕組みと特徴
1‑1. レバレッジ取引と担保(マージン)
Perp DEXでは、USDTやUSDCなどの担保資産を預けることで、10倍、20倍といったレバレッジを効かせた取引が可能です。価格変動に対して、より大きなポジションでの取引が可能になります。
1‑2. 資金調整率(Funding Rate)
永続先物は満期がないため、現物価格と乖離しすぎないようにするための調整として、Funding Rate(資金調整率)が定期的に適用されます。価格が乖離すると、ロングとショートのどちらかが資金を支払う仕組みです。
1‑3. 清算(Liquidation)
ポジションが損失方向に動き、担保の維持率を下回ると、自動的に清算されます。これにより、DEXは債務超過にならずに済みます。
1‑4. 非管理型・透明性
ユーザーは自分のウォレットを使って取引するため、取引所に資産を預ける必要がありません。スマートコントラクトによる運営により、透明性と検証性の高い取引が実現されています。
2. Perp DEXのメリット
- セルフカストディ:自分のウォレットで資産を管理できる
- 効率的な資本運用:少額の担保で大きなポジションを持てる
- KYC不要の匿名性:ウォレット接続だけで利用できる
- DeFiとの連携:他のプロトコルと統合した運用が可能
3. Perp DEXの課題とリスク
- スマートコントラクトの脆弱性:コードのバグがあれば資金流出の可能性あり
- 価格操作リスク(オラクル攻撃):価格フィードを狙った攻撃が発生し得る
- 流動性リスク:マイナーペアのスリッページが大きい
- 過剰レバレッジの危険:急変動時に清算が連鎖しやすい
- 資金調整コストの蓄積:長期保有で調整料の負担が重くなることも
4. 代表的なPerp DEXプロジェクト
Perpetual Protocol (PERP) | Optimism上で動くvAMM形式のPerp DEX。代表的な草分け的存在。 |
dYdX | 高速・低手数料のレバレッジ取引に対応。完全分散型へと進化中。 |
GMX | スポットと先物を統合。低スリッページ・ノースプレッドで人気。 |
Hyperliquid | 高速な取引処理を特徴とする次世代Perp DEX。UIUXも高評価。 |
SunPerp | TRONチェーン上で展開されているPerp DEX。手数料の安さが強み。 |
5. 今後の展望
2025年にはPerp DEXの取引量が大手CEXをしのぐ勢いで成長中です。特に、「ノーコードでPerp DEXを構築可能なインフラ(例:Orderly Network)」の登場により、誰でも独自の取引所を立ち上げられる時代になりつつあります。
このようなトレンドの中で、Perp DEXは「分散型金融の中核」になっていくことが期待されます。