GOX(ゴックス)とは

1. 概要

GOX(ゴックス)とは、仮想通貨業界において「資産を失う」または「取引所が破綻する」ことを意味するスラングです。この言葉は、かつて世界最大のビットコイン取引所だった**Mt.Gox(マウントゴックス)**が2014年に破綻し、多額のビットコインが消失した事件に由来します。

「GOXした」「GOXられた」といった表現が使われ、主に仮想通貨を失った人が自嘲的に使うことが多いですが、取引所の不正やハッキング被害を指すこともあります。


2. Mt.Gox事件とは?

(1) Mt.Goxの設立と成長

  • Mt.Goxは、2009年にマーク・カルプレス(Mark Karpeles)によって設立されたビットコイン取引所。
  • 2013年頃には、世界のビットコイン取引量の約70%を占める最大の取引所だった。

(2) 2014年の破綻

  • 2014年2月、Mt.Goxは「ハッキングによって約85万BTCが消失した」と発表。
  • 当時のレートで約4.5億ドル相当のビットコインが失われ、多くの投資家が資産を失った。
  • 取引所は閉鎖し、破産手続きを開始。

(3) その後の影響

  • Mt.Gox事件は、仮想通貨業界における最大級のハッキング事件として記憶されている。
  • 事件後、取引所のセキュリティ基準が大幅に強化され、多くの規制が導入された。

3. GOXの使われ方

(1) 一般的な意味での「GOX」

  • 取引所の破綻やハッキングによって資産を失うこと。
  • 「取引所にビットコインを預けっぱなしにしていたらGOXられた」

(2) 個人レベルの「GOX」

  • 送金ミスや秘密鍵の紛失によって仮想通貨を失うこと。
  • 「間違ったアドレスに送金してGOXした」

(3) 新たな取引所破綻への応用

  • FTXの破綻(2022年)など、他の取引所が資産を失った事件に対しても「FTXがGOXした」などの表現が使われる。

4. GOXを防ぐ方法

(1) 自己管理ウォレットの利用

  • ハードウェアウォレット(Ledger, Trezor など)を使用する
  • 取引所に資産を長期間預けない(Not your keys, not your coins)。

(2) セキュリティ意識を高める

  • 2段階認証(2FA)の有効化。
  • 取引所を分散して利用し、リスクを分散させる。

(3) 信頼できる取引所を選ぶ

  • 規制を受けている取引所を利用する(例:Coinbase, Binance, Kraken など)。
  • 過去にハッキングや破綻歴がない取引所を選ぶ。

5. まとめ

  • GOXとは、仮想通貨を失うことを意味するスラングで、Mt.Goxの破綻に由来する。
  • 取引所の破綻やハッキング、個人のミスによる資産消失を指すことがある。
  • GOXを防ぐためには、自己管理ウォレットの活用、セキュリティの強化、信頼できる取引所の選択が重要。
  • 過去の事件から学び、資産管理に慎重になることが仮想通貨投資において不可欠。

仮想通貨の管理は自己責任が原則です。「GOXしない」ためにも、適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。