Federated Byzantine Agreement(FBA)は、分散型システムにおける合意形成メカニズムの一つであり、各ノード(参加者)が信頼する他のノードを選択することで、全体の合意に達する手法です。このモデルは、StellarネットワークのコンセンサスプロトコルであるStellar Consensus Protocol(SCP)によって初めて導入されました。
詳細な解説
1. 背景と目的
分散型システムでは、全ての参加者が共通の状態に合意することが求められます。しかし、参加者の中には不正確な情報を提供する者や、意図的にシステムを混乱させようとする者(ビザンチンノード)が存在する可能性があります。このような状況下で、システム全体の整合性を保つための手法として、FBAが提案されました。
2. FBAの仕組み
FBAでは、各ノードが独自に信頼する他のノード(クォーラムスライス)を選択します。これらのクォーラムスライスが相互に重なり合うことで、システム全体のクォーラム(合意に必要な最小限のノード集合)が形成されます。この構造により、中央集権的な管理者を必要とせず、動的かつ柔軟な合意形成が可能となります。
3. 特徴と利点
- 分散型制御:各ノードが信頼する相手を自由に選択できるため、中央集権的な管理が不要です。
- オープンな参加:新たなノードが容易にネットワークに参加でき、システムの拡張性が高まります。
- 高い安全性:クォーラムスライスの重なりにより、悪意のあるノードがシステム全体を支配することを防ぎます。
- 効率的な合意形成:従来のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)とは異なり、高い計算リソースを必要とせず、迅速なトランザクション処理が可能です。
4. 応用例
FBAは、StellarやRippleなどの分散型台帳技術(DLT)で採用されています。これらのプラットフォームでは、FBAを活用して高速かつ安全なトランザクション処理を実現しています。
FBAは、各ノードの信頼関係を基盤とした柔軟な合意形成メカニズムであり、分散型システムの安全性と効率性を高める手法として注目されています。