LIBRA(リブラ)は、2025年2月14日にアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が推奨した暗号通貨プロジェクトです。このプロジェクトは、発表直後に急激な価格上昇を見せましたが、数時間以内に大幅な下落を経験し、多くの投資家に損失をもたらしました。この出来事は「LIBRA暗号通貨スキャンダル」として知られ、国際的な注目を集めています。
詳細解説
- プロジェクトの背景と目的
- LIBRAは、アルゼンチンの中小企業やスタートアップへの投資を促進し、経済成長を支援することを目的として設立されました。プロジェクトは「Viva La Libertad(自由万歳)プロジェクト」の一環として、KIP Protocolというパナマに登録された企業によって開始されました。
- 技術的特徴
- ブロックチェーンプラットフォーム: LIBRAはSolanaプラットフォーム上で作成されました。Solanaは高速な取引処理能力と低い手数料で知られています。
- トークンの供給: LIBRAの総供給量の70%はプロジェクトの創設者が保有していました。
- プロジェクトの展開
- 発表と価格変動: 2025年2月14日18時58分(アルゼンチン時間)にLIBRAトークンが作成され、3分後にミレイ大統領が自身の公式SNSアカウントでこの暗号通貨を宣伝しました。その結果、LIBRAの価格は0.000001ドルから40分以内に5.20ドルまで急騰しました。しかし、創設者が保有するトークンを大量に売却したため、価格は85%下落しました。
- 投資家への影響: この急激な価格変動により、約74,000人の投資家が影響を受け、創設者の9つのアカウントは約8,700万ドルの利益を得たと報告されています。
- 関係者の反応
- ミレイ大統領: 宣伝から約7時間後、大統領はプロジェクトの詳細を十分に把握せずに情報を共有したと認め、投稿を削除しました。
- KIP Protocol: 同社は技術的インフラを提供しただけであり、プロジェクトの実行には関与していないと声明を発表しました。
- Hayden Mark Davis: Kelsier社のオーナーであり、LIBRAのアドバイザーであるデイビス氏は、政府関係者がプロジェクトを支持すると約束していたと主張し、大統領の突然の支持撤回を批判しました。
- 法的および政治的影響
- 刑事告発: この事件を受け、野党の「祖国のための連合(Union for the Homeland)」は大統領の弾劾手続きを開始する意向を表明し、複数の刑事告発が提出されました。
- 国際的な訴訟: アメリカ合衆国に拠点を置くアルゼンチンの法律事務所は、米国司法省とFBIに対して大統領と他の関係者を告発しました。
LIBRAスキャンダルは、暗号通貨の世界における詐欺的な手法や規制の必要性、そして公的な立場にある人物がデジタル資産を推奨する際の責任についての議論を引き起こしています。