剛力組(ごうりきぐみ)とは

「剛力組(ごうりきぐみ)」とは、2018年2月16日に仮想通貨取引所「Zaif」が女優の剛力彩芽さんを起用したCMを放映開始した際、そのCMや広告を見て仮想通貨取引を始めた人々を指す俗称です。

仮想通貨業界では、特定のタレントが出演した取引所CMの放映時期に新規参入した投資家グループを「○○組」と呼ぶ文化があります。「剛力組」はその一例であり、仮想通貨投資ブームの中で誕生したユニークなコミュニティ文化の表れでもあります。

剛力組が誕生した背景

2017年末から2018年初頭にかけて、日本は空前の仮想通貨ブームに沸いていました。ビットコインをはじめとする暗号資産の価格が急騰し、「億り人(おくりびと:仮想通貨投資で1億円以上の資産を築いた人)」という言葉が流行するほど社会的な関心が高まりました。

このブームに便乗するように、複数の仮想通貨取引所が有名タレントを起用したテレビCMを大量に放映しました。特に印象的だったのは以下の3つのCMシリーズです。

出川組(2017年末〜2018年初頭):コインチェックが俳優・タレントの出川哲朗さんを起用。「本物の仮想通貨取引所ってどれ?」というキャッチコピーで話題を呼びました。

ローラ組(2018年1月22日〜):DMM Bitcoinがモデル・タレントのローラさんを起用。明るくポップなイメージで若年層に訴求しました。

剛力組(2018年2月16日〜):Zaifが女優の剛力彩芽さんを起用。上品なイメージで新たな層への訴求を狙いました。

これらのCMは仮想通貨に馴染みのなかった一般層にも広く届き、多くの新規投資家を市場に引き込む効果がありました。

剛力組の特徴と市場参入タイミング

剛力組が市場参入したタイミングは、仮想通貨市場にとって非常に難しい時期でした。2018年1月に入ると仮想通貨全体の相場は急速に下落し始め、ビットコインは2017年末の高値(約220万円)から3月末には約70万円台まで約70%下落しました。

また、2018年1月26日にはコインチェックがNEM(XEM)の580億円相当のハッキング被害を公表し、業界全体への信頼が大きく揺らぎました。Zaifも同年9月に67億円相当の仮想通貨ハッキング被害を受けています。

このような状況下でCMを見て参入した「剛力組」の多くは、参入直後から含み損を抱えることになり、仮想通貨投資の厳しさを早期に経験することになりました。

「○○組」文化が持つ意味

「剛力組」「ローラ組」「出川組」などの呼び方は、単なるユーモアを超えた意味を持っています。

参入時期の可視化

仮想通貨コミュニティでは「いつ市場に入ったか」が重要な文脈情報になります。「○○組」という呼び方は、その人がどのような市場環境のもとで投資を始めたかを一目で伝えるラベルとして機能しています。

コミュニティの連帯感

同じ時期に参入した仲間意識が生まれ、同じ経験(損益・市場ショック)を共有した者同士のつながりが形成されます。「剛力組同士」というだけで、当時の市場状況や心理状態が共有されます。

投資家教育の文化

「出川組は2018年の下落を経験した」「ローラ組は大変な時期に入った」というように、各組の経験が後続の投資家への教訓として語り継がれる文化があります。

現代版「○○組」:2021年以降の参入者

「○○組」文化は2017〜2018年に限らず、その後も様々な形で続いています。

2021年の強気相場(ブルマーケット)では芸能人・YouTuberの仮想通貨言及が増え、彼らの発言をきっかけに入った投資家を「○○組」と呼ぶケースも見られました。また2024年のビットコインETF承認を機に参入した投資家は「ETF組」と呼ばれることもあります。

現在は仮想通貨取引所のタレント起用CMが減っているため、往年の「○○組」文化のような強い紐付きは生まれにくくなっていますが、コミュニティの文化として語り継がれています。

剛力組に関連する言葉

億り人(おくりびと):仮想通貨投資で資産1億円以上を達成した人を指す造語。剛力組が目指していたが、相場環境から多くは実現困難だった目標です。

塩漬け:含み損のある資産をそのまま保有し続けること。剛力組の多くが高値掴みをした結果、トークンを塩漬けにせざるを得なかった経験を持ちます。

ガチホ(ガチでホールド):相場変動に関わらず長期保有し続けること。塩漬けになった資産をガチホして相場回復を待った剛力組も多くいます。

まとめ

剛力組とは、2018年2月に女優・剛力彩芽さんが出演したZaifのCMをきっかけに仮想通貨投資を始めた人々を指す俗称です。出川組・ローラ組と並ぶ「○○組」文化の一つであり、仮想通貨ブームという時代の証言でもあります。

彼らが参入した時期は市場が下落局面に入るタイミングと重なり、多くが厳しい経験をすることになりました。しかしこうした経験を共有する文化は、仮想通貨コミュニティの温かみと歴史の深さを示しています。「○○組」という呼び方は、ただのスラング以上に、投資家たちの経験と記憶を刻んだ言葉と言えるでしょう。