「ローラ組(ろーらぐみ)」とは、2018年1月22日に仮想通貨取引所「DMM Bitcoin」がモデル・タレントのローラさんを起用したCMおよび広告を開始したことをきっかけに、その広告を見て仮想通貨取引を始めた人々を指す俗称です。
仮想通貨業界には、特定のタレントが出演した取引所CMの放映時期に新規参入した投資家グループを、そのタレントの名前に「組」をつけて呼ぶ文化があります。「ローラ組」はその代表格であり、2017〜2018年の仮想通貨ブームを語るうえで欠かせない言葉の一つです。
ローラ組が誕生した背景
2017年末から2018年初頭にかけて、日本の仮想通貨市場は空前のブームを迎えていました。ビットコインの価格が急騰し、「億り人(仮想通貨で1億円以上の資産を築いた投資家)」という言葉が生まれるほど社会的な注目を集めました。
このブームに乗じて、多数の仮想通貨取引所が有名タレントを起用したテレビCMを放映し、一般層への認知拡大を図りました。この時期を象徴する「○○組」文化を代表するCMシリーズは以下の通りです。
出川組(2017年末〜2018年初頭):コインチェックが出川哲朗さんを起用。「本物の仮想通貨取引所ってどれ?」のキャッチコピーが話題を呼びました。最も有名な組として認知されています。
ローラ組(2018年1月22日〜):DMM Bitcoinがローラさんを起用。明るく国際的なイメージで若い世代に訴求しました。
剛力組(2018年2月16日〜):Zaifが剛力彩芽さんを起用。上品なイメージで新たな層への訴求を狙いました。
これらのCMは仮想通貨に馴染みのなかった一般の視聴者にも強く訴求し、市場への新規参入者を大幅に増やしました。
ローラ組の市場参入タイミング
ローラ組が市場に参入した2018年1月22日は、仮想通貨市場にとって非常に重要な時期でした。
2018年1月、仮想通貨全体の相場は急激に下落し始めており、ビットコインは2017年12月の最高値(約230万円)から下落局面に入っていました。さらに同年1月26日にはコインチェックが約580億円相当のNEM(XEM)ハッキング被害を受けて出金停止を発表するという業界を揺るがす事件が発生しました。
DMM Bitcoinのローラさん起用CMはこのハッキング直前の1月22日からスタートしており、CMを見て口座開設・入金した投資家の多くは参入直後から厳しい相場環境に直面することになりました。2018年3月末にはビットコインが最高値から約70%下落するという状況の中、多くのローラ組が含み損を抱えることになりました。
ローラ組とDMM Bitcoin
DMM BitcoinはDMM Groupが運営する仮想通貨取引所です。ローラさん起用のCMは認知度向上に大きく貢献しましたが、同社は2024年5月に約482億円相当のビットコインが不正流出するという大規模なハッキング被害を受け、同年12月に取引所としてのサービスを終了しました。
この事件により、DMM Bitcoin口座の顧客資産はSBI VCトレードへ移管されることとなりました。ローラ組の中でDMM Bitcoinに口座を開設したままだった投資家にとっては、二度目の大きな出来事となりました。
「○○組」文化が持つ深い意味
「剛力組」「ローラ組」「出川組」などの呼び方は、単なるユーモアを超えた文化的意味を持っています。
参入時期のタイムスタンプ
仮想通貨コミュニティでは「いつ市場に入ったか」が重要な文脈情報です。「○○組」は、その人の投資経験の起点を示すタイムスタンプのような役割を果たします。「ローラ組なので2018年の下落を経験しています」というだけで、多くの情報が伝わります。
連帯感とコミュニティ形成
同じ時期・同じきっかけで参入した仲間意識が生まれ、同じ経験(損益・市場ショック)を共有した者同士のつながりが形成されます。厳しい相場を共に経験したという共通体験は、コミュニティの絆を深めます。
後世への教訓
「ローラ組の多くは下落局面で参入した」「出川組は2018年のコインチェック事件を直前に経験した」というように、各組の経験が後続の投資家への教訓として語り継がれます。
ローラ組に関連する言葉
出川組:コインチェックの出川哲朗さん出演CMをきっかけに参入した投資家グループ。ローラ組の約1ヶ月前に参入した先輩格。
剛力組:Zaifの剛力彩芽さん出演CMをきっかけに参入した投資家グループ。ローラ組の約1ヶ月後に参入した後輩格。
成海組:同時期に成海璃子さんを起用した取引所CMをきっかけに参入した投資家グループ。
塩漬け:含み損のある資産をそのまま保有し続けること。高値圏で参入したローラ組の多くが体験した状況です。
ガチホ:「ガチでホールド(保有し続ける)」の略。相場の下落に耐えながら保有し続けること。
まとめ
ローラ組とは、2018年1月にDMM Bitcoinのローラさん出演CMをきっかけに仮想通貨投資を始めた人々を指す俗称です。出川組・剛力組と並ぶ「○○組」文化の一つであり、日本の仮想通貨ブームの歴史を語るうえで欠かせない言葉です。
市場の下落局面と重なるタイミングでの参入となり、多くのローラ組が困難な投資経験をしました。しかしそうした経験を共有し、コミュニティとして語り継ぐ文化は、仮想通貨業界の独自性と深みを示しています。「○○組」という表現は、ただの俗語にとどまらず、時代の記憶と投資家たちの歩みを映し出す言葉と言えるでしょう。