ビットコインと「ひとつなぎの大秘宝」──担保なき価値は「信用」に支えられる

「ビットコインは担保がないから価値がない」という議論を耳にすることがあります。しかし、それを言うなら、法定通貨も結局は「信用」という無形のものに支えられているだけであり、ビットコインだけの問題ではありません。では、人々はなぜ法定通貨を無条件に受け入れ、ビットコインに対しては懐疑的な視線を向けるのでしょうか?

この疑問を考えるうちに、ある物語が頭に浮かびました。それは、大人気漫画『ワンピース』における「ひとつなぎの大秘宝」の概念です。

「ひとつなぎの大秘宝」とは何か?

『ワンピース』の世界では、海賊たちがこぞって探し求める究極の財宝、「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」が存在します。しかし、興味深いのは、このお宝の正体が物語の大部分において明かされていない点です。それでも、多くの海賊たちは「それを手に入れれば、この世のすべてが手に入る」と信じ、命をかけて航海を続けます。

この構図は、ビットコインの価値形成に似ていませんか?

「価値」とは人が信じることで生まれる

ビットコインは、中央銀行や政府の保証がない、いわば「担保のない資産」です。しかし、それを持ちたいと考える人が世界中にいる限り、価値が生まれます。ワンピースの世界の海賊たちが、「ひとつなぎの大秘宝」を求めて航海を続けるように、ビットコインもまた、価値を信じる人々の存在によって支えられているのです。

実は、法定通貨も本質的には同じ構造を持っています。かつては金本位制によって「金」という物理的な担保が存在しましたが、現在の通貨は基本的に政府の信用によって支えられています。つまり、どちらも「みんなが価値を信じているから成り立っている」ものなのです。

「ひとつなぎの大秘宝は本当に価値があるのか?」と「ビットコインは本当に価値があるのか?」

『ワンピース』のキャラクターたちが、「ひとつなぎの大秘宝」の正体を知る前から夢を追い続けるように、ビットコインもまた、未来の価値を信じる人々によって支えられています。もしある日、ルフィたちが「お宝なんて存在しなかった」と知ったとしても、それまでの冒険や仲間との絆が彼らにとってかけがえのないものになっているはずです。

ビットコインも同様に、その価格がどう変動しようとも、それを信じ、投資し、学んだ人々にとっては、ただのデジタル資産以上のものになる可能性があります。それは、金融の新たな形を模索し、未来の経済システムを考えるきっかけを与えてくれる存在なのかもしれません。

まとめ

ビットコインは、ワンピースの世界における「ひとつなぎの大秘宝」のようなものです。その価値は、人々の信念によって生まれ、維持されます。法定通貨も本質的には同じ仕組みで成り立っているにもかかわらず、ビットコインだけが批判されるのは、「新しさ」と「未知」への不安からかもしれません。しかし、どんな時代も「価値」は人が信じることで生まれるもの。ワンピースのように、ビットコインの未来もまた、信じる者たちの手で紡がれていくのではないでしょうか。