XRPとRippleの違い:誤解されがちな名称の歴史と背景

はじめに

仮想通貨市場では、XRPを「リップル」と呼ぶ人が少なくありません。しかし、これは厳密には誤った呼び方です。なぜXRPが「リップル」と呼ばれるようになったのか、その歴史と背景、そして正しい理解について解説します。


1. XRPとRippleの違い

XRPとRippleは明確に区別されるべき概念です。

  • XRP(エックスアールピー):Ripple社が開発したデジタル資産(仮想通貨)で、XRP Ledger(XRPL)上で動作する。
  • Ripple(リップル):XRPを開発した企業(Ripple社、旧称Ripple Labs)および、RippleNetという決済ネットワークを提供する企業の名称。

つまり、XRPはRipple社が開発したデジタル資産の名前であり、「Ripple」という通貨は存在しません。


2. なぜXRPは「リップル」と呼ばれてしまうのか?

この誤解の背景には、XRPの初期の歴史とマーケティング戦略が関係しています。

(1) 初期の名称が影響

Ripple社は2004年にRyan Fuggerによって立ち上げられた「RipplePay」というプロジェクトを基盤にしています。その後、2012年にChris LarsenとJed McCalebが参画し、「OpenCoin」という名称で正式な企業が設立されました。この企業は後に「Ripple Labs」に改名され、最終的に「Ripple」というシンプルな名前になりました。

当初、Ripple社が開発したプロトコルや技術全般が「Ripple」と総称されていたため、多くの人がデジタル資産XRPも「リップル」と呼んでしまったのです。

(2) 取引所の表記ミス

初期の仮想通貨取引所では、XRPを「Ripple(リップル)」という名称で表記するケースが多く見られました。例えば、日本の仮想通貨取引所でも、XRPのことを「リップル」と記載していることがありました。これが一般的に広まり、今でも多くの人がその名残でXRPをリップルと呼び続けています。

(3) Ripple社自身のブランド戦略

Ripple社はかつて、XRPを含む自社の技術を「Ripple」としてマーケティングしていました。しかし、規制当局との関係やブランディングの明確化のため、XRPとRipple社を明確に区別するようになりました。特に、2020年に米国証券取引委員会(SEC)からの訴訟を受けた際、Ripple社はXRPが「Rippleのものではなく、分散型のデジタル資産である」と主張しました。


3. 正しい名称の普及と今後

現在では、多くの公式情報や仮想通貨メディアにおいて「XRP」と「Ripple」は明確に区別されています。しかし、一般ユーザーの間では未だに「リップル」という呼称が残っており、完全に訂正されるには時間がかかるかもしれません。

Ripple社自身も「Ripple」という名称を企業名や決済ネットワークのブランドとして使用し、XRPはあくまでデジタル資産であることを強調しています。今後、規制が進み、仮想通貨業界が成熟するにつれて、この誤解も徐々に解消されていくと考えられます。


4. まとめ

  • XRPはデジタル資産(仮想通貨)の名称であり、「Ripple」という通貨は存在しない。
  • RippleはXRPを開発した企業の名称であり、決済ネットワーク「RippleNet」を提供している。
  • 初期の取引所の表記やRipple社のマーケティング戦略が「XRP=リップル」という誤解を生んだ。
  • 現在はRipple社自身もXRPとRippleを区別するようになっており、正しい名称の理解が進んでいる。

このように、XRPとRippleの違いを理解することで、より正確な知識を持ち、仮想通貨市場において適切な情報を活用できるようになります。