Hashcashは、1997年に暗号学者アダム・バック(Adam Back)によって提案された「Proof of Work(PoW)」に基づくスパム対策およびDoS攻撃防止のための仕組み。後にビットコインのマイニングに応用され、ブロックチェーンの信頼性を支える中核技術の一つとなった。
1. 仕組み
Hashcashでは、一定の計算量(コンピュータリソース)を要求することで、その行動に「コスト」を発生させる。
- ハッシュ関数の計算問題
送信者は、メッセージに基づいた特定の条件(例:先頭に〇個の0が並ぶ)を満たすハッシュ値を見つけなければならない。 - ワークの証明(Proof of Work)
正しい値(nonce)を見つけることで「この作業をした」という証明になり、処理が受け入れられる。 - 検証は高速
一度計算されたハッシュ値は、誰でも瞬時に検証できるため、負荷は送信者側に偏る構造。
2. 用途と導入背景
- スパムメール対策
メールを送信する際にHashcashを使うことで、大量送信を困難にし、スパムを抑止する狙いがあった。 - DoS攻撃対策
サーバーリソースの濫用を防ぐため、アクセス時にHashcashのトークン提出を求める構成も提案された。 - 電子通貨の下地
サトシ・ナカモトはビットコインのPoWメカニズムの参考としてHashcashを明記しており、その技術はマイニングの礎となっている。
3. ビットコインとの関係性
- Proof of Workの先駆け
Hashcashは、PoWの実用的な適用例として広く知られており、ビットコインはこれをブロック承認(マイニング)に応用。 - サトシ・ナカモトによる引用
ビットコインのホワイトペーパーにおいてHashcashは唯一引用されたPoWシステムであり、技術的血統を証明している。
4. 現在の位置づけと限界
- 基盤技術としての役割
Hashcash自体はメールなどの用途での普及は限定的だったが、ブロックチェーンの中核技術として評価されている。 - 計算資源の消費という課題
PoWの性質上、大量のエネルギーを消費するため、環境負荷が問題視されるようになった。これにより、EthereumなどはPoSへと移行。
5. 関連キーワード
- PoW(Proof of Work)
- アダム・バック(Adam Back)
- サトシ・ナカモト
- ビットコイン(Bitcoin)
- マイニング(Mining)
- nonce
- ハッシュ関数(SHA-256など)