ポンプ・アンド・ダンプ(Pump and Dump)とは

1. 概要

ポンプ・アンド・ダンプ(Pump and Dump)とは、仮想通貨市場において意図的に価格を吊り上げ(ポンプ)、その後大量に売却することで価格を急落させ(ダンプ)、利益を得る詐欺的な手法のことを指します。日本では、Pumpをポンプと読まれることが一般的ですが、「パンプ・アンド・ダンプ」と読まれることもあります。

この手法は、株式市場やコモディティ市場でも古くから行われてきたもので、特に低流動性の資産で起こりやすいです。仮想通貨市場では、SNSやメッセージアプリを利用して個人投資家を煽り、短期間での急騰・暴落を仕掛けるケースが増えています。


2. ポンプ・アンド・ダンプの仕組み

ポンプ・アンド・ダンプは以下のような流れで進行します。

(1) 仕込み(Preparation Phase)

主導するグループ(または個人)が、低時価総額の仮想通貨を大量に購入し、価格を一定水準まで維持。

(2) 煽り(Promotion Phase)

SNS(Twitter、Telegram、Discordなど)やインフルエンサーを利用し、「今が買い時」「爆上げ確実」といった誇張された情報を拡散。一般投資家(特に初心者)を巻き込む。

(3) パンプ(Pump)

買い注文が殺到し、価格が急上昇。仕掛けたグループはさらなる買いを入れて、価格を不自然に吊り上げる。

(4) ダンプ(Dump)

主導者が大量の売り注文を出し、価格が急落。一般投資家は高値で掴まされ、損失を被る。

(5) 清算と撤退

主導者は売却後に撤退し、市場は暴落後の混乱状態となる。


3. ポンプ・アンド・ダンプが起こりやすい条件

ポンプ・アンド・ダンプは以下のような条件で発生しやすい。

(1) 低時価総額のコイン

流動性が低い通貨ほど、少額の資金で価格操作が可能になる。

(2) 新規上場したトークン

取引所に上場したばかりの通貨は注目度が高く、投機的な動きが生じやすい。

(3) SNSでの過剰な宣伝

TelegramやTwitterで急に話題になるコインは、価格操作のターゲットになりやすい。

(4) 取引所のマーケットメーカーの介入

一部の取引所では、流動性提供の名目で市場操作が行われることがある。


4. ポンプ・アンド・ダンプの影響

(1) 個人投資家の損失

高値掴みをした投資家は、大きな損失を被る。

(2) 市場の信頼低下

詐欺的な取引が横行すると、仮想通貨市場全体の信頼が失われる。

(3) 規制の強化

金融当局が市場操作を取り締まり、厳格な規制を導入する可能性がある。


5. ポンプ・アンド・ダンプを回避する方法

(1) 突然の急騰に注意する

特にニュースの裏付けがないまま価格が急騰する場合、ポンプ・アンド・ダンプの可能性がある。

(2) 低時価総額の通貨には慎重になる

流動性の低いコインほど、価格操作のリスクが高い。

(3) SNSの情報を鵜呑みにしない

「この通貨は100倍になる!」といった誇大広告には警戒する。

(4) テクニカル分析を活用する

出来高の急増や不自然な価格の上昇は、ポンプの前兆である可能性が高い。


6. まとめ

  • ポンプ・アンド・ダンプとは、価格を意図的に吊り上げ、その後急落させる市場操作の手法。
  • 低時価総額のコインや新規上場したトークンが狙われやすい。
  • 主導者はSNSなどで宣伝し、一般投資家を巻き込む。
  • 多くの投資家が損失を被り、市場の信頼が低下する。
  • 怪しい急騰には慎重になり、テクニカル分析や情報の裏付けを確認することが重要。

ポンプ・アンド・ダンプは仮想通貨市場において頻繁に見られる現象ですが、適切な知識と慎重な投資判断を持つことで被害を防ぐことができます。