ビットコインアドレスには複数の種類が存在し、それぞれ異なる技術的背景やメリット・デメリットを持っています。本記事では、ビットコインの3つの主要なアドレス形式「Legacy」「SegWit」「Taproot」について、わかりやすく解説します。
1. Legacyアドレス(レガシーアドレス)
特徴
- アドレスの形式:1から始まる
 - 例:1A1zP1eP5QGefi2DMPTfTL5SLmv7DivfNa
 - 最も古い形式で、ビットコイン誕生時から使われています。
 
仕組み
Legacyアドレスは、「P2PKH(Pay to Public Key Hash)」という仕組みで構成されます。
送金先の公開鍵のハッシュを指定し、秘密鍵による署名でコインの所有権を証明します。
メリット
- 互換性が高く、全てのウォレット・取引所で対応。
 
デメリット
- 署名データが大きく、手数料が高くなりがち。
 - スクリプトが古く、機能拡張に限界がある。
 
2. SegWitアドレス(セグウィットアドレス)
特徴
- アドレスの形式(2種類)
- 3から始まる:P2SH形式のSegWit(Nested SegWit)
 - bc1qから始まる:Native SegWit(Bech32)
 
 
仕組み
SegWit(Segregated Witness)は、署名データ(Witness)をトランザクションの本体から分離する仕組みです。これにより、トランザクションサイズが小さくなり、手数料削減や処理能力向上につながりました。
P2SH(Nested SegWit)
- 既存の仕組み(P2SH:Pay to Script Hash)を利用してSegWit機能を実現。
 - 互換性が高く、古いウォレットでも利用可能。
 
Native SegWit(Bech32)
- 新しい「Bech32」フォーマットを採用したアドレス。
 - 直接SegWit対応なのでさらに効率的。
 - 視認性が高く、QRコード化しやすい。
 
メリット
- トランザクション手数料を大幅に削減。
 - ネットワーク全体のスケーラビリティ向上。
 - トランザクション展性(malleability)のリスクを排除。
 
デメリット
- 一部の古いウォレット・取引所では、Bech32アドレスをサポートしていない可能性がある。
 
3. Taprootアドレス(タップルートアドレス)
特徴
- アドレスの形式:bc1pから始まる
 - 2021年に導入された最新のアドレス形式。
 
仕組み
Taprootは、マルチシグやスマートコントラクト機能を簡素化しつつ、プライバシーを向上させる技術です。
内部的には「Schnorr署名」を採用し、複雑なスクリプトでも単一の公開鍵と署名で済む仕組みに進化しています。
メリット
- トランザクションサイズがさらに縮小 → 手数料削減。
 - 複雑な条件付き送金(マルチシグ、タイムロックなど)でも、普通の送金と見分けがつかなくなる → プライバシー向上。
 - スマートコントラクト機能が柔軟かつ効率的に。
 
デメリット
- 対応しているウォレットやサービスはまだ限られる(徐々に普及中)。
 - 技術的に最先端なため、初心者には少しハードルが高い。
 
アドレス形式まとめ表
| 種類 | 先頭文字 | 主な技術 | 手数料 | 互換性 | 特徴 | 
|---|---|---|---|---|---|
| Legacy | 1 | P2PKH | 高い | ◎ | 最古の形式 | 
| SegWit(P2SH) | 3 | Nested SegWit | 中 | ◎ | 古いウォレット互換 | 
| SegWit(Bech32) | bc1q | Native SegWit | 低い | △ | 手数料最安 | 
| Taproot | bc1p | Schnorr署名 + MAST | 最低 | △ | 高機能・高プライバシー | 
まとめ
ビットコインアドレスは、時代とともに進化してきました。
Legacyは「古くて広く対応」、SegWitは「効率化と手数料削減」、Taprootは「プライバシー向上とスマートコントラクト対応」というように、それぞれの特長があります。
これから新しくビットコインを使うなら、SegWit(Bech32)かTaproot対応のウォレットを選ぶのがおすすめです。
送金相手の環境によっては「Legacy」や「P2SH SegWit」を使う必要もあるので、状況に応じて使い分けましょう。
最後に
ウォレットの設定で「どのアドレス形式を使うか」を選べることが多いので、自分の用途に合った形式を理解して選択することが、賢いビットコイン運用につながります。

