仮想通貨業界におけるハーベスティング(ハーベスト)とは、主にNEM(ネム)ブロックチェーンにおいて、取引の承認や新しいブロックの生成を行い、その報酬として手数料を受け取るプロセスを指します。これは、ビットコインの「マイニング(採掘)」に相当する作業ですが、NEM独自のコンセンサスアルゴリズムであるProof of Importance(PoI)に基づいています。
詳細な解説
1. ハーベスティングの仕組み
NEMのハーベスティングは、ネットワーク内の取引を検証・承認し、新しいブロックを生成する作業です。この作業を行うことで、ハーベスター(ハーベスティングを行う人)は、そのブロックに含まれる取引手数料を報酬として受け取ります。ビットコインのマイニングとは異なり、NEMでは新たなコインの発行は行われず、既存の取引手数料が報酬となります。
2. Proof of Importance(PoI)アルゴリズム
ハーベスティングは、NEM独自のコンセンサスアルゴリズムであるPoIに基づいています。PoIは、ユーザーのネットワークへの貢献度を評価し、その「重要度(Importance)」に応じてブロック生成の権利を割り当てます。重要度は主に以下の要素で決定されます:
- 有効残高:10,000XEM以上の保有が必要です。
- 取引活動:ネットワーク内での取引頻度や取引量が考慮されます。
- 取引先の多様性:多様なアカウントとの取引が評価されます。
これらの要素により、ネットワークへの積極的な参加が促進され、公平な報酬分配が実現します。
3. ハーベスティングの種類
ハーベスティングには主に以下の2種類があります:
- ローカルハーベスティング:自身のコンピューターを使用してハーベスティングを行う方法です。この場合、コンピューターを常時オンライン状態に保つ必要があります。
- デリゲート(委任)ハーベスティング:第三者のスーパーノードにハーベスティングを委任する方法です。これにより、自身のコンピューターをオフラインにしていてもハーベスティングが可能となります。スーパーノードとは、NEMネットワーク内で高い重要度を持つノードのことで、一定の条件(高性能なサーバーや大量のXEM保有など)を満たしています。
4. ハーベスティングの参加手順
ハーベスティングに参加するための基本的な手順は以下の通りです:
- XEMの購入:まず、暗号資産取引所で10,000XEM以上を購入します。
- ウォレットの設定:NEM公式のNano Walletをダウンロードし、インストールします。
- XEMの送金:購入したXEMをNano Walletに送金します。
- ハーベスティングの有効化:ウォレット内でハーベスティングを有効化します。デリゲートハーベスティングを選択する場合は、委任設定を行います。
これらの手順を完了すると、ハーベスティングが開始され、ネットワークへの貢献度に応じて報酬を得ることができます。
5. ハーベスティングのメリットと課題
メリット:
- 低コストでの参加:高性能なハードウェアや大量の電力を必要とせず、比較的低コストで参加できます。
- ネットワークの活性化:ユーザーの取引活動が評価されるため、ネットワーク全体の活性化が促進されます。
課題:
- 報酬の不確実性:ネットワークの取引量や自身の重要度により、得られる報酬が変動します。
- 初期投資:10,000XEM以上の保有が必要であり、初期投資が求められます。
ハーベスティングは、NEMネットワークのセキュリティと分散性を維持しつつ、ユーザーに報酬を提供する重要な仕組みです。参加を検討する際は、最新の情報を確認し、適切な準備を行うことが推奨されます。